SSブログ

福島の震災施設めぐり1日目 廃炉、汚染水、中間貯蔵 [東京での登山と日常]

 「いつかは行かねば」と思っていた東日本大震災の被災地におもいきって行ってきました。いつの間にか震災の記憶をとどめようとする施設がたくさんできていて、とても良い経験となりました。と同時に福島の「まだまださ」も実感することができた。

 午前7時の上野発JR「ひたち1号」でいわきへ。各駅停車に乗り換え常磐線をさらに北上する。富岡駅に着いた時には小雨が降っていて「まじか」と思ったが、本降りとはならず10分ほど歩くと東京電力の廃炉資料館に着いた。ここは福島第一原発の現状説明と廃炉への道筋を丁寧に教えてくれる。職員らの対応は低姿勢に徹している。

東京電力廃炉資料館

 3号機と4号機の使用済み燃料は取り出し作業が終了していることを知った。1、2号機は後5年かかるようだ。燃料デブリはロボットアームでつかむところまできた。2019年時点でのロードマップでは廃止措置終了までの期間は30〜40年後。私は生きているだろうか…
 現在の一番の焦点は汚染水の海洋放出に関してで、東京電力からもらった資料でも一番汚染水の処理に関するページが多かった。コロナ禍とあって係員の人が引率する形で説明を受けながら館内を見て回るのだが、最近は汚染水のことについての説明の比率が高まっているそうだ。

 もう一つ印象深いのが前日の原発作業員の数が電光掲示板に表されていたこと。およそ4600人。原発稼働時には8000〜9000人が作業していたそうだから、その経済的な波及効果は認めざるを得ない。それだけの数の人間が食事をして寝泊りをして、中には家族で暮らしていたのだから。

汚染水について東京電力の資料

 近くで昼食にラーメンを食べてそのまま富岡町役場方面へ歩いていくと今度は「とみおかアーカイブミュージアム」があった。ここでは富岡町が昭和30年代に財政が逼迫していたことから、原発誘致へ舵を切った当時の状況がパネルで紹介されていた。また被災したパトカーが展示されていた。避難を呼びかけていて2人の警察官が殉職したという。

とみおかアーカイブミュージアム

 広い荒地の中にアスファルトの道が続いている。
 30分ほど歩くと桜並木が見えてきた。有名な夜ノ森(よのもり)だ。大木の桜並木が連なっている。桜の季節には綺麗だろうな。HPを見ていると2022年の桜まつりはステージで「テツandトモ」が出演したそうだ。頑張ってるな〜

夜ノ森 桜並木

 この辺りは特定復興再生拠点区域とされています。これまでの帰還困難区域に居住可能なエリアを認めようというもので、富岡町では2022年に初めて全ての桜並木を見ることができたそうです。

桜並木沿いの朽ちた商店

帰還困難区域を示す看板

 そこから中間貯蔵工事情報センターを目指します。坂道を降りて行って国道6号線をずんずん歩いて行きます。途中で歩道がなくなる場所があって少し怖かった。ここまで歩いてきて生活者は一切見かけません。どれだけ探してもいない。工事関係者のみです。

国道6号線から西側の荒地を望む

 50分ほど歩いて、やがて国道6号線沿いに中間貯蔵工事情報センターがありました。除染で出た土壌や瓦礫など汚染物質は大熊町と双葉町に「中間貯蔵」として保管することになりました。用地の確保にあたっては、地権者から買い上げたほうが多かったそうです。いくら思い入れがあっても手放すしかないよなあと思う。

中間貯蔵工事情報センター

 環境省らしく非常にこじんまりした施設ですが、除去土壌の処理は現在進行中の大きな課題の一つです。30年と決めた2045年には最終処分方法、用地を決めなければなりません。説明によると75%を占める8000ベクレル以下の低濃度の汚染物は遮蔽物を施せば農地や道路などの土台として再利用できるのではないかと研究しているそうです。

中間貯蔵工事情報センター内観

 そこから大野駅まで35分ほど歩きました。大野駅も新しくなっていましたが、駅西側の看板は昔のままに残っていました。

JR大野駅前 

 大野駅から一駅北へ移動した双葉駅へ行って、シャトルバスに乗って地域交流センターへ。隣接するビジネスホテルARM双葉に泊まりました。1泊2食付きで全国旅行支援クーポンで4割引となり、さらに「福島県来て割」の観光特典クーポン1000円分をくれました。
 食堂では観光客らしき人は見かけず、工事関係者と思われる人が数人という感じでした。周りには何にもなくて自動販売機でビールとハイボールを飲んで眠りにつきました。

 この日に行った施設では特に現在進行中の事象について知ることができた「廃炉資料館」と「中間貯蔵工事情報センター」が非常にためになりました。翌日は双葉町と浪江町、宮城県名取市の閖上を回ります。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ