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岩手・花巻で宮沢賢治と鉛温泉を巡り、盛岡で満開の石割桜を堪能 [東京での登山と日常]

 東北の岩手を妻と旅してきました。1日目の訪問地は宮沢賢治ゆかりの花巻です。宮沢賢治は岩手県花巻市に生まれ、農学校の教師を経て農業に転職。37歳で死ぬまでに出版した作品は「注文の多い料理店」のみ。死後に「銀河鉄道の夜」などが評価され、今では誰もが知る作家です。岩手県を「イーハトーブ」と称する理想郷とし、作品にも岩手県の地名が多く出ています。

宮沢賢治記念館 心象世界

 新花巻で新幹線を下車し、タクシーに乗ってさっそく宮沢賢治記念館へ。ホールには略歴の他、科学、芸術、宇宙、宗教、農など6つの分野ごとに資料が集められ展示されています。(たぶん著作権の関係で)一部をのぞき写真撮影はOKでした。

PXL_20240413_023840173.jpg

 今回の旅に際し「銀河鉄道の夜」を青空文庫で再読しました。断片的な事柄が夢のように次々と起こります。めくるめく情景描写が光と色彩にあふれていて、サイケデリックとも表現できそうな、ぶっとびぶりです。すごいな…。小さい時に読んだときに全く意味がわからなかったのも当然、今でもわかりにくい…
 「銀河鉄道の夜」は未完の作品なので、余計にわかりにくいのかもしれません。奉仕の精神、自分だけでなく多くの人が幸せになることが大事だとする宮沢賢治の通念が根底にあるのですね。

宮沢賢治のスケッチ

 記念館では残された原稿や顕微鏡をのぞきながら描いた絵画、チェロ(セロ)弾きの楽譜、友人への手紙など資料、法華経、国柱会への傾倒などの資料が集められて宮沢賢治の実像に迫ろうとします。

アザリアのメンバー 

 NHKが以前、知人の保坂嘉内への恋心があったとの説をとりあげた番組(ETV特集「宮沢賢治 銀河への旅〜慟哭(どうこく)の愛と祈り〜」)を放送していました。なかなか挑戦的な番組だったと思います。素人の私なんか番組を見て「あ〜そうか、それならわかる」と腑に落ちた点がありました。
 そういえばジョバンニがカンパネルラにやきもちを焼くシーンがありました。それにしても知れば知るほど謎が深まる人のように思えます。

早池峰山が見える

 駐車場に戻ると早池峰山が見えました。再びタクシーに乗って(レストラン山猫軒に呼び出しの直通電話あり)花巻市街へ。12時半から予約がとれた「やぶ屋総本店」へ行きました。宮沢賢治もこのお店を「ブッシュ」と呼んでよく訪れ、天ぷらそばとサイダーをよく頼んでいたとか。

やぶ屋総本店店構え

 知らなかったのですが、花巻はわんこそば発祥の地なのです。前の人が終わるのを待って、いよいよ「わんこそば」挑戦です。周りは若い女性グループやカップルで、私みたいなおじさんは挑戦しないようです。給仕の女性も若い人にはおわんのふたをする前に素早くそばをいれますが、私たちには優しかったです。(ちょっと意地悪してほしかった(笑))

わんこそば やぶ屋総本店

 結果は60杯で「小結」でした。まあ思いで作りです。

 この日の宿泊は鉛温泉「藤三旅館」です。ここは宮沢賢治も親戚の関係でよく訪れていたそうです。
 実際のところ鉛温泉は宮沢賢治の「なめとこ山の熊」に出てきて、田宮虎彦の「銀(しろがね)心中」の舞台にもなっています。のちに監督・新藤兼人、主演・音羽信子で映画化もされていてアマゾンプライムで見ることができました。最近では映画「海街diary」のロケ地にもなっていました。

鉛温泉 藤三旅館

 なめとこ山の熊のことならおもしろい。なめとこ山は大きな山だ。淵沢川はなめとこ山から出て来る。なめとこ山は一年のうち大ていの日はつめたい霧か雲かを吸ったり吐いたりしている。まわりもみんな青黒いなまこや海坊主のような山だ。

なめとこ山の熊

 なめとこ山の熊の冒頭部分です。とにかく不思議な文章を書く人だ。

 藤三旅館の呼び物はなんといっても立って入る風呂としては最も深い自噴式の温泉です。風呂場の扉をあけると階下に至る階段があって、真ん中に一つ大きな浴槽があります。(撮影は許可制です。ポスターで勘弁を)

鉛温泉 藤三旅館 白猿の湯

 階段を下りて行って服を脱ぎ、浴槽に入ると「深い…」首までどっぷり浸かります。足元からお湯が勢いよく噴いています。独特の浮遊感というか、経験したことのないなんとも不思議な気持ちで天井を見上げると3階分の吹き抜けになっていて、遠近感を失ってそのままどこかへ連れて行かれそうな不思議な気持ちになりました。

晩御飯

 旅館そのものは歴史あるというか古い設備ですが、全体的によく掃除されていて、従業員の方々も気持ちのよい方ばかりでした。晩御飯は白金豚のしゃぶしゃぶがおいしかったですね。日本酒の七福神、遠野のどぶろく(開拓と開花)とお酒もすすみました。

岩手銀行赤レンガ館

 翌日はホテルのシャトルバスで花巻まで出て、在来線で盛岡に移動です。盛岡ではまず岩手銀行赤レンガ館を見ました。ここが2012年まで使用されていたとは驚きです。

石割桜

満開の石割桜

 歩いて満開の石割桜を見て、駅近くの店「不来方(こずかた)じゃじゃ麺」でじゃじゃ麺を食べました。じゃじゃ麺のイメージが変わる美味しさでした。写真は早く食べたくて写真を撮る前にひとかき混ぜしてしまいました。すみません。
 16時過ぎの新幹線で帰路につきました。上野の「よし寿司」で寿司を食べて帰宅です。

不来方じゃじゃ麺 盛岡

 宮沢賢治のゆかりの地をいろいろと巡って楽しかったです。わんこそばと鉛温泉をプラスして肉付けした感じですが、結果的に良かったと思います。盛岡も桜が満開で石割桜がとてもきれいでした。またどこかへ行きたいものです。たまには普通の旅もいいものです。


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西上州・妙義山(相馬岳) 松井田駅からピストン [東京での登山と日常]

 2週連続で夜明け前の上野へいき、5時13分発の高崎行きに乗ります。高崎で信越線に乗り換えて松井田駅まで。7時21分に着いて歩き出しました。駅からいきなり妙義山と浅間山が見えると、いやが応にも気分が上がろうというものです。

駅から妙義山と浅間山が見える

 鳥たちがピーチクパーチク気持ち良さそうにさえずっています。つくしが伸びて広がる手前という感じ。もう2~3日前だったら取ったのにな。この辺の人はつくしを取らないのだろうか?もう十分ほかで取ったのだろうか?

松井田駅から妙義神社の途中、つくしがいっぱいだ

 駅から1時間かけて8時25分頃に妙義神社の入り口に到着。桜がとても綺麗だ。ヘルメットにハーネス装着の2人連れがいた。メインコースを登るのだろうか。というか、やはりそれくらいの構えが必要ということですな。

妙義神社は桜が見頃を迎えていた

 妙義神社の桜は枝垂れ桜が有名なんだろうか?神社に来る道中にも民家ながら立派な枝垂れ桜が植わっていまして、思わず写真を撮ったのですが、神社の枝垂れ桜を見ますとやはりこっちをブログに載せるべきだなと思いまして。枝垂れ桜ってなんだか優雅でちょっとしっとりした印象で好印象です。

妙義神社は枝垂れ桜が良い

 拝殿があるところまで登って家内安全を願ってから、境内左手の林の中の山道に入ります。熊出没や第二見晴付近の鋼製階段、石門周辺で通行止めの標識がある。今回は中間道からタルワキ沢ルートをとって妙義山最高点の相馬岳に登る予定です。

通行止めとなっている鋼製階段が見える

 ちょっと罪悪感もありますが、鋼製階段は踏み跡を通って通過しました。私なんかは「これであかんかな?」と思いますが、「関東ふれあいの道」となると踏み跡ルートは認められないのかもしれない。責任問題にもなるから拙速には決められません。
 そこからすぐでタルワキ沢分岐です。

中間道のタルワキ沢分岐

 「上級コース」ということで注意が呼びかけられているので、素直にヘルメットを被りました。

タルワキ沢の「上級コース」看板

 タルワキ沢はクズ石が散在する雑然とした谷筋を歩くものです。ルートには丁寧に矢印がつけられていて迷うことはありません。と言いたいところですが、下ばかり向いていて一度ルートを外しました…

タルワキ沢の鎖場

 鎖場は岩に立ち込むポイントがありましたが、三点支持ができれば大丈夫でしょう。沢を詰めていきますと、「キレット」「窓」と表現できそうなコルが近づいてきます。

タルワキ沢の詰め。コルはもう少し

 コルから左手の相馬岳を目指します。すぐだと思っていたのですが、意外としっかり登らされました。

相馬岳の山頂

 相馬岳の頂上に登りますと浅間山が見えます。たおやかな山容。左右に稜線を広げています。手前のギザギザは裏妙義と呼ばれる山です。確か連合赤軍は裏妙義を縦走ししてあさま山荘にいたり、立てこもったのではなかったかな。

相馬岳山頂より浅間山をのぞむ

 妙義の向こうに荒船山が見える。荒船山も行ってみたいところで、妙義にするか荒船にするかだいぶ悩んだんですよね。また今度行って見たいところです。荒船山はクレヨンしんちゃんの作者が亡くなったところです。

表妙義の山々 荒船山が背後に見える

 一度鞍部まで戻って天狗岳に登る。こっちの方が水の浸み出しがあったりで下りに注意を要しそうだ。
 登ってまた鞍部に戻ると私含めて3パーティーが揃う。1パーティーは稜線通しにきたが、30メートルの鎖場などがあって必死だったと話していた、もう一人の20歳の男性は「以前表妙義全行程やったのだが、奥の院よりこの先の方が厳しい」と話していた。うらやましいなあと思いながら私が「単独だしピストンで」と話すと、「またくればいいですよ」と慰められた。誰も遭難すると思って遭難しない。単独なら今回のルートで間違っていないと納得した。
 それからはひたすら下る。

高崎から上信電鉄に乗り換える

 13時12分高崎行きに間に合って時間が早いので富岡製糸場へ行ってみることにします。上の写真は上州鉄道。高崎駅でかき揚げそば410円を食べて上州富岡駅へ。往復、入館料含め2200円の切符を買う。それにしても日差しがきついな今日は。

レンガ作りの富岡製糸場

 富岡製糸場は繰糸所(国宝)が素晴らしかった。トラス構造の建物、当時珍しかった窓ガラスが全面に貼られた壁面、繭から糸を紡ぐ実演がなされていてそれはとても繊細で難しくしんどそうだった。こういう地道な仕事を朝から晩までできる人って心底すごいなあと思う。富岡で技術を身につけた工女は地元に戻って各地の経済の発展に勤めたのだとか。

富岡製糸場の繰糸所

操業停止状態のまま保存されている

 あとは割とペンキの塗り替えもないような、よく言えば昔の姿をそのまま残す建物群を見て帰る。女工哀史のイメージがありますが、そのような負の側面はなく、週に一度の日曜日は休み、1日の労働時間も決められていて、極めて近代的な労働環境だったようだ。ただし民営化されるまでは…。

富岡製糸場の桜も見頃

 渋沢栄一はこの製糸場の建設にも関わったそうです。お隣の埼玉県深谷市の出身とあって、渋沢栄一のことに反応する方が多かったです。

グリーン車に乗ってビールをいただきました

 高崎からはJREポイント600ポイント使ってグリーン席に。最近お気に入りの金麦とハイボールで一人お疲れ様会です。
 今日で青春18きっぷも使い切ることができました。座りっぱなしでしんどい部分もありますが、普段はあんまり触手を伸ばさないところにも行くことができて、なかなか思い出深い5回の旅となりました。

■妙義山(相馬岳)松井田駅ピストン
松井田駅(7:25/8:25)妙義神社(8:30/10:25)相馬岳(10:30/12:10)妙義神社(13:20/13:05)松井田駅

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奥久慈男体山から袋田の滝へ 青春18きっぷで山旅 [東京での登山と日常]

 茨城県北部の奥久慈の男体山(なんたいさん)。JRだと上野から西金(さいがね)まで片道だけで3,080円かかりますが、ここは青春18きっぷを使って行ってみることにしました。上野5時11分発の快速でまずは水戸まで。水戸と郡山を結ぶ水郡線に乗り換えます。関西人の私はこの路線のことを全く知りませんでした。西金に着いたのは8時40分でした。

西金に8時40分着

 ここから登山口の大円地(おおえんじ)までアスファルトの道を1時間ほど歩きます。菜の花が咲き鳥たちの楽し気なさえずりで、なんとものどかな雰囲気です。

春の里山の雰囲気

スミレ

大円地のトイレと駐車場

 大円地にはモンベルのフレンドショップのお蕎麦屋さんがあったそうですが、先を急いでいるのでトイレだけ済ませてさっそく「健脚コース」に突入します。大円地から初めて男体山が見えたのですが、絶壁を要する山容に「こんなとこ登れるんかな?」とやや不安になりました。

奥久慈男体山

 健脚コースは急登で鎖場が続きます。礫がたくさん入っていてホールド豊富で見た目より硬くて快適です。すれ違いもありますし下りはしんどいと思います。

奥久慈男体山 健脚コース

奥久慈男体山 健脚コース 鎖場

 ぐんぐん高度を上げて空が大きくなったころひょっこり稜線上に出ました。

奥久慈男体山 東屋

奥久慈男体山 頂上

 東屋が立っていてあとで休憩することにします。まずは山頂へ。断崖絶壁の山だけあって展望はすこぶるよかったです。名も知らない山々が累々と続いています。

奥久慈男体山

 山頂には駅でみかけた中学生くらいの男子3人と引率役の男性がいました。彼らは車で登山口まで行ったので、ここで追いついたと考えると、まあまあなペースです。先ほどの東屋に戻ってパンを食べ、袋田の滝までの後半戦の縦走に入ります。

奥久慈男体山標識

 縦走コースにも標識はしっかりしていて迷うことはありませんが、特にご報告することもない地味な縦走です。

奥久慈男体山 入居山

奥久慈男体山 カタクリ

奥久慈男体山  チョウチョ

 アップダウンをいくつか繰り返して月居(つきおれ)山から下りると鐘楼や石仏がある鞍部につきました。石仏わきから階段をあがると運慶作と言われる観音像があるお堂があって、なおも階段をあがって小さいピークに登りきると今度は一気に階段を下ります。ゴーッという音が谷あいから聞こえてきて、その滝のスケールが推し量れるというものです。

袋田の滝

 そして突然袋田の滝を見下ろすことになりました。滝は数段で最後は一気に落ちています。写真で見ていたより明らかに水量が多いようです。きっとここ数日の雨の影響でしょう。300円払えば観瀑台から眺めることができるのですが、下山路から滝を見下ろしてきたばかりなのでそのまま下山しました。お土産屋さんなどを横目で見ながら道路にでます。水戸行きの電車は13時57分の次は15時57分でこのまま駅まで歩くと時間を持て余すことになります。風呂でも入りたいと思いましたが、徒歩ではどうやら難しそうです。今思い返せばお土産屋さん近くのホテルに日帰り温泉がありました。さっさと入ればよかった。

奥久慈男体山 袋田駅

 まあなんにもない駅で時間待ちするのも贅沢な時間という気もします。のんびり過ごして帰路につきました。

■奥久慈男体山から袋田の滝へ縦走 2024/3/31
JR西金(8:45/10:45)奥久慈男体山(10:55/13:05)入居山(13:05/13:45)袋田の滝(13:50/14:35)JR袋田駅
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雑多なこと ミツマタとPerfect Daysと二男ちゃん [東京での登山と日常]

 一時はどれだけ早く咲くのだろうと思っていた桜の開花が足踏みをしています。入学式が桜の咲くころになればいいですね。

ミツマタ

 先日はミツマタを見に東丹沢の鐘ヶ嶽に登りました。山頂へ行った後ミツマタの群生地へ行くと、暗い森の中に黄色い花が咲いていてそのコントラストがおとぎ話の世界に迷ったような気がしました。写真撮影用のハート形のオブジェがあったり足元にシートが敷いてあったり受け入れ準備も万端で、地元の期待が伺えます。
 ミツマタはアップで見るとなかなか肉感のある花でちょっとグロテスクな気もするのですが、いつからこんなにもてはやされるようになったのでしょう?SNSの影響でしょうか。

 映画「Perfect Days」を見ました。何らかの理由で世間から距離を置いて生きている男。人と価値観を同じにして人生を歩むことは悩まずには済むけれど、ずっと人との比較がついてまわります。自分が大事にしていることに忠実に生きることは、逆に尺度が常に自分なのでしんどくて辛いことが多い。自分はそれでもそういう生き方をしたいと思う。そしてLou ReedやKinksを聞いてきて良かったと心から思った。

 映画はこの他、トーキング・ヘッズのコンサート・フィルム「ストップ・メイキング・センス」は人生初のオール・スタンディング。配信ではアニメ「アキラ」をまた見て、ディティールまで書き込まれた絵とアウトローの視点から描かれたそのストーリーのセンスに感心し、「髪結いの亭主」が「仕立て屋の恋」と同じ監督と知って納得し、アニメ「BLUE GIANT」では東宝アニメの本気度を感じました。「8月の家族たち」はメリル・ストリープとジュリア・ロバーツのつば迫り合いが強烈でした

 さて3月は二男が結婚しました。雨で奈良の若草山を会場に式をできなかったのが残念でしたが、こじんまりした式で良かったです。いろんな意味で手こずった二男ですが、時々感心するほどの思いやりをみせる青年となりました。きっとその優しさをパートナーが受け入れてくれたのでしょう。式には長男夫婦もきて、仲良さげな二組のカップルを眺めていて微笑ましく思いました。
さてこれで子供たちが巣立ちました。

 次のライフステージは自分かな?
 不安も半分ですが、何が待ち構えているかわからない場面に身をおくことに今からワクワクしています。

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房総・伊予ヶ岳〜富山 青春18きっぷ3回目 [東京での登山と日常]

伊予ガ岳を振り返る

 青春18きっぷ3回目は房総半島南部の「伊予ヶ岳」へ行くことにしました。「房総のマッターホルン」「房総で唯一の岳のつく山」などのうたい文句で知られ関東百名山でもあります。
 先週金曜日に軽いぎっくり腰となったことや、左ひざの違和感もあり、低山で身体の調子を確かめたかったのと、ついでに房総半島を一周しようと企てました。

 朝一番の京葉線から蘇我で君津行きの内房線に乗り換え、木更津でさらに乗り換えて岩井駅に到着。知りませんでしたが南総里見八犬伝のいわれの土地なのですね。子供のころNHKの人形劇が人気でした。あとで調べてみよう、と思っていたら、いい具合に接続している街のコミュニティバスが駅前で待っています。一般客がのべ2人、登山客は5人でした。私を含め3人が「天神郷」で下車しました。あとの2人はどこへ行くのかな?

天神郷から仰ぐ伊予ヶ岳南峰

 バスを降りて見上げると伊予ヶ岳南峰の険しい山頂部がありました。道はよく整備されています。左膝のことがあるのであまりペースを上げずゆっくりゆっくりを心がけます。

今年初めてスミレを見た

 東屋に着いて左を見上げるとロープがある岩場になっていて、看板がいくつも立って注意を促していました。2023年4月に滑落死亡事故が起きたそうです。

注意喚起!

 実際に登ってみますと岩場自体は三点支持を心がければ問題ありませんが、急なザレ場が滑って、気を緩めるとズルっといきそうです。

伊予ヶ岳の岩場

 登り詰めるとあっさり南峰の山頂に着きました。船の先端のように鎖による柵が岩場につけられていて先っぽまで行くことができます。大台ケ原の大蛇のようです。さすがに展望はよくて房総半島の山々を見渡すことができました。この日は空気がもやって見えませんでしたが、丹沢や三浦半島もみえるようです。

伊予ヶ岳 山頂

伊予ヶ岳の南峰 北峰から見る

 さらに北峰も登って岩場回避ルートを下山ルートにします。桜広場、東屋を経て分岐を富山への道を進みました。

ヒメツルニチニチソウ

真門の集落から見る富山

 集落のあるところまで降りるとあとはほとんどアスファルト道です。鳥がさえずり、菜種など様々な花が咲いててとてものどかな里山の風景が続きます。道中に手作りの標識があるのですが、富山に「とみさん」と振り仮名がふってあります。地元の人の「『とみやま』ではない」こだわりなんでしょうね。

菜の花がきれいだ

富山の南峰の展望台

 富山は展望台のある北峰には現天皇陛下が雅子さんと連れ立って登ったそうです。南峰へ行く途中に「愛の鐘」も設置されていて地元の人の喜びぶりが伝わってきました。

富山からの展望

 下山路には福満寺コースを選び降りていきますと、12時ころ福満寺に到着。膝のこともあるし12時23分の電車には間に合わないなと思いながら、ダメもとで駅を目指すと駅舎前でホームに入ってくる電車を見たら我慢ができなくなり走ってしまいました。乗客にも「頑張って」と励ましてもらい(はずかし…)無事乗れました。ふ〜っ。
 さあ、ここから後半戦です。

おらが丼

 内房線と外房線の境でもある安房鴨川(あわかもがわ)で降りて昼食をとることにします。迷ったあげく「藤よし」という海鮮料理のお店へ。当初は地魚の回転寿司を考えていたのですが、最近友人が生魚を食して救急車で運ばれたと聞いたばかりだったのでつい敬遠し、地元名物と触れ込みの「おらが丼」というのを食べました。おいしかったですが、あまり感動はありません。やっぱり生魚だったかな、と少し後悔。

安房鴨川の海岸の人たち

 海辺へ出てみると、この日は強風で白波がたっていましたが波間にサーファーの姿が見えました。砂浜の砂がとても細かくて柔らかい感触でした。そういえば山から海を見下ろしたことはあっても、海岸までおりたのは久しぶりなような気がします。そういえば伊予ヶ岳の伊予は愛媛県の石鎚山の別名「伊予の大岳」からとのこと。黒潮文化の影響なんてちょっとロマンを感じます。

安房鴨川サーファー

 この時点で15時ごろです。御宿(おんじゅく)へ行って童謡「月の砂漠」の砂浜に行こうかとも思っていましたが、「もういいか」と思えたのでそこから帰ることにしました。上総一ノ宮(かずさいちのみや)で乗り換えて蘇我へ戻り京葉線で東京へ戻りました。さすがにうつらうつらしてしまいました。

 膝は両足で登っている限りは問題なく、下山後も痛みはないので、まあ大丈夫でしょう。房総半島一周はさほど苦にはなりませんでした。途中途中で下車して(登山や昼食、乗り継ぎ)がいい間隔であったからかもしれません。
 太平洋を一望し、里山の風景を堪能しました。房総半島は空が広いですね。

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■伊予ガ岳〜富山〜JR岩井駅
天神郷(8:21/8:50)伊予ガ岳南峰(9:05/11:00)富山北峰(11:15/12:23)JR岩井駅




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熱海で朝風呂♪ 青春18きっぷ2回目 [東京での登山と日常]

 2月の週末に連続してスキーに行ってからどうも膝の調子が悪いようです。そこで山登りは控えることにします。かといって、家でゆっくりするわけにはいきません。青春18きっぷの残回数があるので、「どこかに行かなかればならない」のです…。
 東京から日帰り旅なら熱海が思い浮かびます。普通電車で2時間弱。乗車時間も手ごろだし、行ったことがありません。なんとなく「朝風呂」が入りたくなって探したところ、午前8時から開いている公共浴場があるようです。ということで、出発です。

 熱海に着いたのは7時40分。伊東への電車に乗り換えて来宮(きのみや)で下車します。狭いくねくねした道を海側に下っていくと「ふふ熱海」とか「熱海金城館」とか高そうな宿泊施設を横目に住宅街の中に入っていきますと、ありました!公共浴場「山田湯」です。スマホがなければたどりつかないですね、普通に。

山田湯 アパートのような外観

 アパートのような外観です。男湯の扉をあけてお代金を女将さんに支払います。300円。安い。2~3人入ればいっぱいな湯舟で洗い場は2つ。とてもシンプルです。

山田湯

 富士山と水車のタイル絵を湯舟につかりながらぼーっと見上げていると、土曜日の朝早くに熱海で朝風呂入っていることがなんとも不思議な気分です。男湯は私だけしかいませんでしたが、女湯は地元の若い人、お年寄りの会話が漏れ聞こえてきて和やかです。
 熱海でも公共浴場は徐々に少なくなっているようですが、一日でも長く続けてほしいものです。

 朝風呂あがりでさっぱりしたところで、熱海の観光です。まずは近くの起雲閣(きうんかく)へ。

起雲閣

 土地の有力者が作った建物と庭を旅館に仕立て、今は熱海市が管理する文化財です。和洋の部屋が贅を尽くして作られたホンモノです。本当にこの頃の贅沢は桁違いですね。
 旅館時代は数々の文豪も訪れていました。あまり予備知識なく訪れたのですが、入水自殺する直前に太宰治が投宿していたそうです。
 ほかにも志賀直哉、谷崎潤一郎、山本有三の対談がここで行われたそうで、ビッグ3の豪華すぎる写真もパネル展示されていました。関東は作家さんたちの出没密度が高いですね。

文豪たち

 次に訪れたのはベタベタですが、やっぱり寛一お宮の金色夜叉です。銅像は1985年建立とわりと新しいものですが、私の幼い自分は漫才やコントなどでも、2人のやり取りはわりと頻繁に取り上げられていたような気もするのですが、女性を足蹴にするこの銅像をみるとさすがに時代を感じます。これは今アウトでしょう…

貫一お宮の像

 お昼ご飯は海鮮ものにするかどうか迷いましたが、11時過ぎですでに行列ができる勢いに気おされ、熱海に多いレトロ喫茶で軽食をとることにします。
 最初に「ボンネット」を訪れますがお客さんでいっぱいなようで、次に「田園」へ行きました。扉をあけるとなんというかとても抽象的なオブジェが目に飛び込んできます。

喫茶「田園」

「田園」のミートソーススパゲティ

 ソファに腰を下ろしてミートソーススパゲティとアメリカンを頼みます。オブジェの周りは池になっていて大きな鯉が泳いでいます。内装もとっても趣向がこらされています。
 文庫本を読んだりして落ち着くんですよねぇ。ミートソースも味わい深かったです。

ときわぎのきび餅

 お土産に交差点角で存在感のある「ときわぎ」さんで、きび餅8個入550円を買いました。めちゃ柔らかくて美味でした。

 この時点で12時ごろです。熱海はこれくらいにして小田原に展開することにします。歴史があまりちゃんと頭に入っていないのですが、戦国時代の北条氏というのが私には今一つ理解しきれていないのです。恥ずかしながら「鎌倉時代の北条氏とは違うのかな?」レベルなのです。

小田原城

 天守閣は復興で再建されたもので、中には私のような歴史に疎い人のためと言わんばかりの「小田原北条氏」について解説が丁寧にされていました。難攻不落の小田原城ではありましたが、想定以上の豊臣秀吉の大軍と大量の兵糧、そして兵法に降伏せざるを得なかったのですね。勉強なります。
 感心したのが地元らしき家族連れが、わが町の歴史を親子で学ぶ姿が多くみられたことです。小田原というのはなかなか地元に愛着のある意識の高い人が多いなあと感じた次第です。

丹沢の山々が見えた

 16時4分の湘南新宿ライン、大船乗り換えで品川に17時8分着。小田原でのお土産は揚げたての蒲鉾を「すぎせい」さんで買って帰りました。162円×3枚です。家に帰ってからチンして食べましたが、お酒のあてにぴったしでした。

すずせいの揚げたてのかまぼこ

 電車に乗っている間はそうでもないのですが、やっぱり疲れますね。でも青春18きっぷがあったから、熱海に行く気になったので、その点では感謝です。
 世の中には知っているようで、まだまだ知らない場所があるのだなあと実感した次第です。

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入笠山でお手軽雪山 青春18きっぷで行く [東京での登山と日常]

 行ってみたいけど、高い交通費を払うのがちょっと惜しいと思う場所があります。そんなとき「青春18きっぷ」を使えば、お財布にも優しいのではないかと思いつきました。一日あたりに換算すると2410円で普通や快速を乗り放題です。しかし長時間の乗車で体力的にダメージを受ける恐れがあります。5回使いきれるだろうか?
 まあ考えていてもなんですので、とにかく切符を買ってみることにしました。

 1回目は中央本線に乗って、お手軽雪山として人気の入笠山(にゅうかさやま)へ行くことにしました。まだ暗いうちに出発して6時35分八王子発の松本行きの普通電車に乗り換え。幸い座れたのであとは身を任せます。トンネルを抜けて勝沼ブドウ園になるころには南アルプスの山々が左手車窓に見えました。甲府、韮崎、小淵沢を通り過ぎて9時10分富士見駅で下車。待ち構えたスキー場のシャトルバス(9時15分と10時の2便ある)に乗ってスキー場へ10分ほど。スキーヤーやボーダーがたくさんいましたが、登山者はゴンドラ往復の切符を買います。利用料は2000円でモンベルカードなら200円引きですが、いつも忘れてしまうんですよね。アプリにしたほうがいいかもといつも思うのですが。

 ゴンドラを降りると一気に1970m。さっそく森林の中のトレースをたどりだしましたが、寒さが身に染みる。メリノウールの下着、オクタのフリース、ソフトシェルを着ていたのですが、さらに雨具を着て、手袋の上にはオーバー手袋を着用してひとごこちつけました。こんなに寒いとは意外。それともまた寒さに弱くなったのか…

入笠湿原

 森林からパーッと開けた場所に出ました。入笠湿原です。スズランの自生地がみられるそうですが、当然今は雪の下です。複数の登山グループの楽しそうな声が広い雪原に響きます。林道にあがって少し行くと左手に大きな真っ白な斜面が。ここは花畑と呼ばれているそうです。
 スノーシューやアイゼンを付けている人がほとんどで、私のようにツボ足で登っている人はみかけません。チェーンスパイクをつけてもよかったのですが面倒くさくて…

入笠山の花畑

 岩場コースをしばらく行くと頂上にあっけなく着きました。写真撮影のため手持ちの山名標識もあって、写真を撮るためのサービスがいたせりつくせりです。
 眺望はさすがによくて、まず八ヶ岳がとても近い。八ヶ岳からいつもスキー場が見えていたけど、あれは入笠山だったのだなあと気が付いた。

入笠山頂上はたくさんの人

八ヶ岳連峰

南アルプス 甲斐駒ケ岳、鋸岳、間ノ岳、仙丈ヶ岳

 それと甲斐駒ヶ岳、鋸岳、間ノ岳、仙丈ケ岳の南アルプスと富士山。中央線からの眺めでも思いましたが、山梨側からは甲斐駒の存在感がすごいです。かつて登った黄連谷が山頂までまっすぐに伸びています。美ヶ原と車山。北ア、中アは雲で稜線は見えませんでしたが、十分でしょう。

ヒュッテ入笠(元マナスル山荘)の行列

 パンをぱくぱく食べたら下山にとりかかります。帰りは旧マナスル山荘のヒュッテ入笠に寄ってみます。名物のビーフシチューは最近メニューから姿を消したとのこと。あまりに人気が過熱してお店側も対応しきれなくなったようです。それでもこの日は行列ができていました。様子だけみてそのまま下山。ゴンドラ下に着いた頃にはちょうど12時ごろ。シャトルバスは15時と17時の2便しかないので、駅まで歩くことにします。すると12時59分の甲府行きに間に合ったので飛び乗ります。

ヒュッテ入笠のランチメニュー

 甲府で途中下車して郷土料理の「ちよだ」というお店へ行きました。ここで「おざら」と馬もつ煮とビールを頼みます(計2,420円)。「おざら」はほうとうのつけ麺スタイルという感じでしょうか。もつ煮も食べたかったのでほうとうより軽めのおざらを選んだ次第です。うまかった〜。

甲府「ちよだ」の「おざら」

甲府「ちよだ」の馬もつ煮

 帰りは14時46分の高尾行に乗ってのんびり帰りました。十分元はとった計算ですが、ちょっと腰が痛めです。もう少し短い距離の日帰り山行、旅行を考えてみようっと。

青春18きっぷ

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上越・白毛門(しらがもん) 駅から登れる雪山 [東京での登山と日常]

 せっかくの冬のシーズンだから雪山に行きたい。なかなか電車バスで行くことができるところは少ないのですが、ネット記事を参考にしていて見つけました。上越国境近くの白毛門(しらがもん)なら楽しめそうです。

 上越線の土合駅は一度は行ってみたかったところです。谷川岳岩壁開拓時代には先を争ってこの階段を駆け上っていたとか。今日は私を含めて8人だけでした。階段数は462段とのことです。ちなみにトンネル駅は下りホームだけです。

土合駅の階段462段

 駅で身支度を整えて9時に出発!
 登山口からはいきなりの急登でした。これが延々続きます。尾根状に上がると小さい雪庇が出ていました。

尾根上に上がる。小さい雪庇が出ていた

 今回の出発時間ですと基本的にトレースはついていて、黙々とのぼるのみです。松ノ木沢ノ頭に11時10分ごろ着きました。

松ノ木沢ノ頭の手前

 白毛門は谷川岳の眺めが良いので有名で、今回も楽しみにしていたのですが、この日は全くダメですね。視界が効きません。
 ようやく頂上手前の雪の斜面が見えてきました。

頂上手前の雪の斜面が見えてきた

 ここでストックからピッケルに持ち替えます。雪壁というほどではないのですが、ピッケルだとなぜか安心感がありますね。下りはちょっと急に思う人もいるのではないでしょうか。

登っている人(下っているひと?)が見える

 そしてワンポイントの鎖場。雪が多い時は埋もれているとのことですが。落ち着いて通れば大丈夫です。

ワンポイントの鎖場

 人がいるところが頂上です。頂上の向こうにスキーの滑走準備をしている人がいました。まだブッシュが埋まりきれていないので、苦労しそうだとのことでした。それでも行くのだからすごいな。

頂上に人がいる。真っ白け

樹氷

 天気は回復しそうもないのでさっさと下山します。どんどん降りていたら14時8分の上毛高原行きのバスに乗れました。駅でお土産にこんにゃくを買って15時25分の新幹線に乗れました。

下山の風景

■白毛門 2024/2/3
土合(9:00/12:00)白毛門(12:05/13:55)土合

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太宰治の「津軽」を訪ねる1泊二日 [東京での登山と日常]

 太宰治の「津軽」を訪ねてみたいと思いました。正直に言いますが、太宰治は「走れメロス」しか読んだことがなく(それも教科書で)、なんとなく旅のテーマが欲しくて「津軽」を手に取ったところ、夢中になって読んでしまったのです。軽妙で自分に正直な語り口が、自分が思い描いていた太宰のイメージと全然違って、読んでいて「ぷっ」と吹き出すほどでした。家族や友人、恩人を訪ね歩くことが太宰にとっての「津軽」そして「自分を」知る旅だったのです。

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 新青森から奥羽本線で川部まで。山頂は隠れていますが岩木山が雄大なすそ野を描いています。五能線に乗り換えて五所川原で津軽鉄道に乗り換えます。

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 「大人の休日倶楽部パス」期間中とあって、切符を買うにも行列です。皆さんの目的は「ストーブ列車」。レトロな客車には1両につき2台のストーブがあって、車掌さんがするめ(¥800)を焼いてくれるのです。

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 ビールやお酒もじゃんじゃん売れています。まだ午前中とあって私は遠慮していましたら、かわいそうに見えたのかボックスで同席していた女性が焼いたするめをくれました。やさしいなあ。
 金木(かなぎ)駅で下車すると雪が降ってきました。

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 駅前から閑散としたまっすぐに伸びる道路を歩いていくと、5分ほどで太宰が津軽に疎開した際に使用していた「新座敷」がありました。室内にはあちらこちらに太宰の文章が置かれていて、目の前にある空間と文をいったりきたりしていると、どんどん太宰本人への興味が増してきます。

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 太宰は除籍されるなど実家との関係は良くなかったようです。それでも疎開を受け入れてもらい、この新座敷では執筆に専念できた良い時代だったようです。書斎で片膝をたてながら執筆している様子を想像してしまいます。

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 お昼は近くのすし屋「奴寿し」で。2,500円の寿し定食は豪華でした。お値打ちあるんじゃないかな。ここでも自制するつもりでしたが、お料理を見てすぐにタガが緩み、ビールに日本酒まで飲んでしまった。

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 続いて太宰の実家「津島家」の大邸宅跡である「斜陽館」へ。太宰の生家はこの地方随一のお金持ちで、成績優秀だった太宰は将来を嘱望されながらも、どんどん逆の方向に人生を歩んでいきます。惚れっぽいのか、惚れられやすいのかいつも女性と関係が深まり、詰まるところ自殺行為へと走ってしまいます。
 津軽への旅行を決めてから「人間失格」も読んだのですが、主人公と太宰本人とかぶらずにはいられません。とても正直な人だったのではないかなと思いました。多かれ少なかれ大人になると自然と身についてしまう「処世」みたいなことができずにいたのではないでしょうか。そうならば世の中は矛盾だらけで耐えられないものとなったでしょう。

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 芦野公園まで歩いて16時14分の津軽鉄道に乗って終点の津軽中里に着きました。この日の宿は駅から5分ほど歩いたところにある「福助旅館」さんです。

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 共同トイレ、共同風呂は新しくてきれいで、食事はおなか一杯、お酒は持ち込み制です。一泊2食で税込み8,140円でした。おかみさんがとても陽気な方で楽しかったです。

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 翌日は津軽中里駅を8時に出る弘南バスに乗って津軽半島日本海側最北の集落小泊(こどまり)を目指します。しじみで有名な十三湖には風力発電機が林立しています。バスはやがて小泊の集落に入り、「小学校前」で下車。片道1,200円支払おうとしたら、SUICA一日フリーパス1,000円で往復できると運転士さんが教えてくれました。ラッキーです。バス停からすぐで「小説「津軽」の像 記念館」です。

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 「津軽」で太宰は幼少期に子守をしてくれた「たけ」に会いに小泊を訪れます。ここでの出会いを小説のクライマックスとする方も多いシーンです。とかく他者にも自分にもとがっている印象がありますが、ここでの太宰は母親のそばを離れない子供のように安心しているのです。美しいです。
 小説では出会ったところで終わっていますが、太宰はたけ宅に一晩泊まったそうです。話をしたかどうかはともかく太宰にとって特別な人であったことに変わりありません。

 記念館には生前のたけや、金物屋で偶然太宰と出会った娘のインタビューも聞くことができ興味深いです。別のところで「取材に訪れる方も多く、たけさんも少々お疲れ気味だった」と聞きました。それにしても太宰との出会いでこの人の人生は大きく変わったでしょうね。

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 たけ宅など小泊漁港まで街を散策して派立というバス停から津軽中里まで戻りました。待ち構えてくれたのが「愛乗(あいのり)タクシー」です。

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 路線バス減少の策として導入された事前予約性の交通手段で今回奥津軽いまべつ駅まで送ってもらうことにしたのです。通常なら12,000円くらいのところを2,400円で運んでくれたので超ありがたいです。

 そして奥津軽いまべつ駅からはJRが社会実験している「わんタク」で龍飛崎を目指します。「わんタク」はこれも事前予約制で一回の乗車がなんと500円(大人の休日倶楽部パス所持者は300円!)です。今回の旅で一番驚きました。
 JR津軽線は蟹田(かにた)〜三厩(みんまや)間が大雨による土砂崩れで不通となり、復旧方法についてJRと自治体の間で話し合いが続いていますが、採算のことを考えると復旧は難しそうです。「わんタク」は将来に向けたデータ集めの側面があるのかなと思います。

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 この日の龍飛崎は風もおだやかで北海道まで見渡すことができました。左から右に松前や函館方面、下北半島。
 真っ白い山はなんだろう?
 こんな近くに北海道が見えることに単純に感動しました。同時に隔てる津軽海峡の大きさも。

 運転手さん曰く「こんな日はないですよ。来てもガスでなんにも見えないことも多いから大抵の人は10分もせずに帰ってくる(笑)」と言ってくれました。ラッキーだったなあ。

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 龍飛崎には爆音で歌が流れる「津軽海峡冬景色歌碑」もあって、石川さゆりの歌声が絶えず風の中で流れていました。有名な「階段国道」は冬季通行禁止でした。太宰は龍飛崎への旅でこう書きました。

この部落を過ぎて路は無い。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えているのである。ここは、本州の袋小路だ。読者も銘肌せよ。諸君が北に向って歩いているとき、その路をどこまでも、さかのぼり、さかのぼり行けば、必ずこの外ヶ浜街道に到り、路がいよいよ狭くなり、さらにさかのぼれば、すぽりとこの鶏小舎に似た不思議な世界に落ち込み、そこにおいて諸君の路は全く尽きるのである。


 またもや事前予約していた「わんタク」に乗り(運転手さんは同じだった)JR蟹田駅へ送ってもらいました。太宰が訪れた際、名物の蟹をたくさん食べたとありますが、今はあんまりとれないそうです。「東日本大震災の時以来、なぜか獲れなくなった」とのこと。こんなところまで海の底を変えてしまったのでしょうか?本当かどうかはわかりません。
 16時25分の津軽線に乗って帰路に着きました。

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 ついこないだまで「走れメロス」しか知らなかったのに、にわか太宰ファンになった私。旅の終わりではもう太宰のことならなんでも知りたい気分でした。勝手な盛り上がりぶりに我ながらあきれてしまいます。

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 「津軽」は今年で刊行からちょうど80年にあたるそうです。地元でイベントをする機運もあるそうです。偶然でしたがそんな年の初めに訪れることができました。「津軽」との出会いも何かの縁ですね。「故郷」「斜陽」くらいまでは読みたいなと思います。行ってよかったです。


津軽 (新潮文庫)

津軽 (新潮文庫)

  • 作者: 治, 太宰
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2024/01/29
  • メディア: 文庫



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2024 年初めは災害と事故、そして歯痛 [東京での登山と日常]

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 元旦は地震で驚かされました。地上波テレビが夜には通常プログラムを放送していましたから「どうも全体像がつかめていないなあ」と思っていたら、日に日に安否不明者が増えてきました。交通事情が悪い半島とはいえ、政府の対応が後手後手に回り、マスコミの報道もなんか少ないなと思うのは私だけでしょうか?そして世間的にもなんというか関心が薄いのではないかと思います。

 羽田の事故もテレビの映像を速報で見たときは目を疑いました。羽田空港であんなことが起こるなんて。事故原因は現段階では人的なミスによるものと思われますが、私たちの安全ってなんと脆いものの上に立っているものなんでしょう。

 さて私はというと年末年始は大阪で家族と過ごしていたのですが、去年結婚した長男の妻(こういう時の言い方で正しいのって何ですか?)も来たのでいつもより賑やかになりました。「まぼろし」「浜娘」「雪の茅舎」「春鹿」お酒をたくさんいただきました。

 三が日が終わると東京へ戻り、この三連休は山登りに行こうと気合を入れていたのですが、5日金曜から治療した奥歯が痛くなり始め、昼飯からはろくに噛めないようになってしまいました。土曜日に開院している歯医者に飛び込んだところ、治療したところが炎症を起こしているのだろうと薬をもらって翌日にはだいぶ食欲も出て来ました。
 連休最終日の本日は鶏胸肉をチャーシュー風に煮て、さらにハナマサという肉屋で牛肉を買って来て、ビーフシチューをたっぷり作ってしまった。うまかったです。
 とりあえずいつもの歯医者に明日は行ってちゃんと治療してもらおう。

 年末年始は録画していた映画をたくさん見ました。印象に残ったのは「バグダッド・カフェ」何度見るのか?、「仕立て屋の恋」サスペンスとして素晴らしい、「好きだ、」宮崎あおいって若い時から演技がうまかったんだなあ、「ある愛の詩」ライアン・オニールが12月に死んでしまったのがショック、「ダウン・バイ・ロー」ジム・ジャームッシュだからって昔見た覚えあり。中だるみするが、トム・ウエイツやロベルト・ベニーニが出ていたとは知らなかった、「植村直己物語」奥様役が倍賞千恵子さんだったのが嬉しかった。

 本は「自閉症は津軽弁をしゃべらない」学術的な内容なんだろうけど、本自体は謎解きみたいで楽しかった、「四月になれば彼女は」近く映画化されるらしい。付き合い始めた頃のように愛し続けることは確かに難しいけど、それだけではないというのが実感。

 さて節目が近づいて来ているのを感じています。後悔しない生き方をしなければと自分に言い聞かせています、とか言って(笑)
 今年もよろしくお願いします。


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