今年の夏はどこ行こう?そう考えたときから「黄蓮谷右俣」が頭の中に浮かびました。大学時代に五合目の岩小屋まで行きながら、天候不順であきらめたルートであること。体力・技術的にはそろそろ限界かも?との思いから。なによりも甲斐駒にダイレクトに突き上げるルートであること。

 計画にあたって注意したのは荷物の軽量化と、割と滑りやすいとの記述が多く、体力のない我々としては「ちょっとしたことでバランスを崩す」のが怖いので、ロープを積極的に出すなどすることを考え、余裕のある日程(2泊3日予備日1)を組むことにしました。

 夜行バスで韮崎に着いたのは午前6時10分頃。タクシーに乗ってさっそく尾白川林道のゲートまで(¥7,500)。そこから林道をてくてく歩きます。途中、甲斐駒が姿を見せました!目指す黄蓮谷右俣が見えたのですが、頂上にすごい角度で切れあがっています。う~ん緊張するなあ。



 廃坑のようなトンネルを3つ通り、林道の終点からロープに助けられながら尾白川に降り立つことができました。ここからは大学時代に通ったことがあるのですが、↓の滝は忘れられません。



 外傾したバンドで下級生が滑り、それに巻き込まれる形で「ドッボーン!」した記憶です。荷物が多くて一瞬溺れそうになりました。今回は右岸を簡単に巻いてしまいました(^^ゞ



 まもなく倉掛沢と出合い、本流は「ワイヤー滝」です。左岸は磨かれていて水流を渡るのは難しそうなので、ここも右岸を軽く巻きました。落ち口に出るときにスラブでパートナーさんが滑りかけて肝を冷やしました。全体的に滑りやすいんですよね、この沢は…



 ↑バンドから上がるのでしょうが、あまりに明瞭な踏み跡が左岸にあったので、そちらを選択。とにかく体力を消耗したくない一心なのです(^^ゞ





 とにかくたくさん豪快な滝があって、どこがどうなのかわかりませんが、巻き道は明瞭です。大概は右岸に付けられているようです。やがて左岸に模様のついた岩壁が見えました。「花岩」です。



 さらに有名な「噴水滝」。画面中央下に水面から水が噴き上げているのがわかりますか?



 次は「獅子岩」。「花岩」の時も頭上に大きな岩が見えたのですが、本物に比べれば小さい。本物は迫力あります。



 ↓この滝は登れましたが…



 ほとんど巻いてしまい「大ざっぱな沢」だなあが感想。やがて尾白川本谷を右に見送り、貧相な感じで出合う黄蓮谷に入るとまもなくで千丈滝が現れました。



 右岸に石碑のある巻き道で落ち口に着きます。そこから左岸に上がるとビバーグ適地がありましたが、まだ早いのでもう少し足をのばします。するとまもなく坊主滝が姿を現しました。



 これは押し出してくるような迫力があります。だいぶ体力的にしんどくなりました。中途半端な時間で奥千丈滝に入りたくないので、右岸の焚き火跡を今宵の泊まり場としました。坊主滝下には雪渓が残っていました。



 今回の軽量化の目玉、アライのツエルト(2~3人用)です。中央部の予備ポールで居住性は抜群に高まりました。天気図をとると台風が南西諸島で発生しているものの、太平洋高気圧の勢力が強く、あすも晴れそうです。

 あすはいよいよ奥千丈滝です。「何ピッチ、ロープを張るだろうか?」「支点はとれるだろうか?」などと考えているとなかなか眠れなかった…

◆南ア・甲斐駒ヶ岳、黄蓮谷右俣沢登り
2012年8月25日~27日
1.尾白川林道ゲート(7:20/8:30)林道終点(8:45/9:00)入渓点(9:00/9:45)ワイヤ滝(/12:30)千丈滝下(/13:30)坊主滝下T.S

2.T.S(6:20/7:10)二俣(7:20/10:10)奥千丈滝中段テラス(10:20/14:30)インゼルT.S

3.T.S(5:15/8:30)稜線(8:30/8:35)甲斐駒ヶ岳(9:00/12:15)北沢峠