アルプスでの復活クライミングの場に選んだのは南アルプスの北岳バットレスです。特に4尾根は初心者でも取り付けるルートとして人気があります。とはいっても油断は禁物、登攀技術だけでなく、長いルートだけに体力とルートを見る力が必要と、ちょっとばかし緊張しつつ大阪を出たのでした。
芦安温泉からバスに乗り換え1時間で広河原到着。広河原から白根御池小屋まで3時間ちょうどでした。テントを設営しあす未明のヘッドランプ行動のためにと、バットレスを偵察しに行きました。約1時間半でバットレス沢、C沢出合に着きました。


水が流れているのがバットレス沢です。右岸の草付きにある踏み跡をたどると下部岩壁のルートに選んでいるbガリーに到達できそうです。自然と「よーし」と気合が入ろうというものです。
「さあテン場に戻ってビールでも飲もう」と引き上げかけたその時、足が滑ってしりもちをつき、その際尖った石で左手の親指付け根がえぐられました。あ痛ー!その傷を見た瞬間、バットレスが遠ざかるのがわかりました。マグロの切身みたいだったなあ。
沢の水で洗浄し、消毒液を振り掛け、タオルで止血、心臓より高い位置に左手を上げと応急処置をとり、すぐさま下山を決定。パートナーにはすまない気持でいっぱいです。
広河原に着くとすでに最後のタクシーが出たあと。地元の人の好意でトラックの荷台に乗せてもらいなんとか芦安の駐車場まで到着しました。夜間の病院に駆け込んだところ「今後のリハビリもあるだろうから明日朝一番で自宅近くの病院で縫ってもらいなさい」とのことだった。結局、6針を縫う傷で医者曰く「汚い切れ方をしているので時間がかかる」とのこと。

家族からも「もう山登るなと神さんが言うてんねんで」と酷評されました。反論もせず、しばらくはなりをひそめるとしておこう。クライミング復活はちょっとお預けだ。

2005/7/29
広河原9:00---白根御池小屋12:00/12:30---バットレス沢出合14:00---事故発生14:20---白根御池小屋15:20/15:45---広河原17:40