皇海山。「すかいさん」と読みます。足尾山塊の盟主と呼ばれているらしいのですが、関西人には全く馴染みがありません。しかし日本百名山の中でも最も過酷なルートだというので、天気が良い(先週の)週末に行って来ました。結果、手応え十分でした。



わたらせ渓谷鉄道の原向(はらむこう)駅でおり、他の登山客が頼んでいたタクシーに便乗して乗せてもらい(代金は割り勘とした)、国民宿舎かじか荘へ。入山届と庚申山荘の代金2,080円を支払って出発。林道を歩いて一の鳥居から登山道となった。

 巨岩が緑の中に点在していて、なかなかおもしろい。悲しい伝説もある。昔は庚申講(こうしんこう)の信仰の登山だったそうだが、いまはほとんどいないそうだ。やがて庚申山荘に到着。



 庚申山荘は素泊まり専用。毛布もあるが自分も含めて、ほとんどの人は寝袋持参だった。合計20人ぐらいは宿泊しただろうか。緊急事態宣言が解除されたからか?大きな声で話す人がいて「酔っ払いって面倒臭いなあ〜」と久しぶりに思った。20時半には静かになった。



 翌日は4時に起きて4時半過ぎに出発。ヘッドランプ行動。昨日のうちに小屋からの道に見当をつけておいてよかった。くるくると岩塊の間を縫うように道がつけられている、と思う。明るければ奇岩林立の感じがわかるのだろうけど、真っ暗でわからない。やがて庚申山に到着した。ここでみかんを食べて元気を出す。



 ちょっと行くと視野が広がって、皇海山がどーんと目の前に見えた。なかなか立派な山容だ。



 あまり確かではないが、日光の山が見えた。男体山とか日光白根山とかだと思う。



 ヘッドランプの時に非常に役立ったのが下の写真の蛍光目印だ。本当に助けられました。



 やがて鋸岳が見えました。今回の登山の核心部と言われるところです。人がいるのが見えます。



 下の写真は核心部の取り付き部分。鎖に沿っていけば大したことありません。



 ロープがまっすぐに伸びていて、たどって行くと最後にちょっとスリップが許されない緊張感ある露岩が。ここは身体が空中に飛び出す感覚がありました。みんなこんなところ大丈夫なんだろうか?



 核心部を超えたピークから一度ギャップを梯子を使って下ります。結構な高さですよ、これ。



 鋸岳に到着しました。ここでウィダーinゼリーをいただき、元気を出します。



 鋸岳から激下りです。ロープがつけられています。やがて不動沢のコルに到着しました。ここから鋸岳を見上げると、なるほどギザギザです。



 皇海山は不動沢のコルに近いところに林道があったため、簡単に登れるようになっていたのですが、台風のため林道が寸断され、いま私がたどって来た長いルートしかないのです。皆さん「クラシック・ルート」とよんでいます。



 辛抱して登っていると皇海山の山頂に着きました。展望もなく、何となく気分は晴れませんが、予定より早い到着です。よ〜し、このまま行って早い電車に飛び乗ろうと気分をあげます。



 鋸岳に登り返し、六林班峠方面へ足を踏み入れます。



 このみちは藪漕ぎがあって、第2の核心と呼ばれています。時々背丈ほどもある笹があるものの、足元は刈られていて迷うことはありません。



 六林班峠に到着です。10時半過ぎ。最後のみかんを食べます。



 このコースはよくこんなに高低をつけることなくトラバース道を作ったものだ、と感心するほどです。そして森がとてもきれい。一部で紅葉が始まったようです。



 巨木もそこかしこにあって、庚申山荘近くではまたまた巨岩が点在しています。神様が配置したかのようです。



 一の鳥居まで戻り、林道を歩いていると電波(docomo)が通じたので、タクシーをかじか荘に呼んで、15時22分のわたらせ渓谷鉄道に乗ることができました。あ〜しんどかった。

 いろんな人が言うほどつまらない山ではありません。岩場あり、藪あり、森林がきれいとアピールポイントがいくつもあります。そして行動時間の長さが、行程の戦略を考える上でとても頭の体操になります。行動を終えると思わずニンマリしてしまいます。

■足尾山塊・皇海山(2021/10/2-3)
1.かじか荘(10:50/13:30)庚申山荘
2.庚申山荘(4:35/8:45)皇海山(9:00/10:35)六林班峠(10:45/12:50)庚申山荘(13:10/14:50)かじか荘