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「黒部の山賊アルプスの怪」を読みました [山の本、TVなどメディア関係]

 ずっと以前に買ったまま読んでなかった「黒部の山賊 アルプスの怪」を読みました。三俣蓮華山荘の経営者、伊藤正一さんが戦後間もなくの頃から小屋経営に乗り出した話です。
 
 戦後すぐとあって登山者の姿も少なく、代わりに「山賊」たちが跋扈していた黒部。ジェットエンジンの元エンジニアだけあってノスタルジーに惑わされることなく、伊藤さんの記述は冷静な視点を忘れません。それでいて山で起きる不思議な現象を「説明のつかないこと」として受け入れています。

 当時の黒部には山賊もいたし、クマやカワウソもいたそうで、現代と違う意味で賑やかなところだったようです。鉱山の話なんかも興味深かったです。

 また雨具が発達していなかった当時は凍死者がざらにあった様子もうかがえました。私が山を登り始めた高校生の頃はエントラントの雨具しかなく、それも買えない私は重たいゴム張りの合羽を着ていたものです。

 私にとって黒部は赤木沢、東沢、上ノ廊下、裏銀座縦走と何度も足を運んだ思い入れのある山域です。赤木沢は楽しかったけれど、上ノ廊下は水量の多さに恐怖を感じ、東沢は激しい風雨の中、乗越から水晶小屋に登るのがしんどかった思い出があります。今年縦走した裏銀座では目の前に広がる風景に酔いしれました。3月に黒部横断を企てたこともありました。

 林道が山深くまで伸びた現代にあってもなお「日帰り登山」ができない黒部。それ相当の覚悟を持って赴く山域であることは今も変わりません。いつまでもタヌキや化け物が蠢く黒部であってほしいと思います。

 そういえば雲の平はまだ足を踏み入れたことがありません。一度ゆっくりと行ってみたいと思います。


定本 黒部の山賊 アルプスの怪

定本 黒部の山賊 アルプスの怪

  • 作者: 伊藤正一
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2014/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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