「冬のデナリ」を読んだ。時速300キロの強風の世界からの生還… [山の本、TVなどメディア関係]
「冬のデナリ」を読みました。デナリはアラスカにそびえる6,194mの山。マッキンリーと呼ぶ方が通りが良いでしょうね。恥ずかしながら冬季初登が1967年で、そのパーティーが日本人を含む国際隊だったことを初めて知りました。
作者の西前さんはその国際隊のメンバーでした。タクティクスを考える参謀役として描かれています。仲間がクレバスに落ちて死亡する事故にあいながら登山を続行。ようやく最終キャンプに到達し、天気の周期がよくなるのを待ちます。登頂とその後の天候の悪化。国際隊だけに感情のもつれも出てきます。生き延びるための最善の道とは…心理的な圧迫がこちらまで伝わってきます。
この登山で印象的なのは「イグルー」「雪洞」の積極的な使用です。逆にイグルーと雪洞がなければ、寒さと強風を防げないのです。植村直己さんも雪洞を使用していました。
植村さんと親交のあった元テレビ朝日の大谷映芳氏らが、デナリの5,715m地点に設置した気象観測機は「最低気温マイナス70度、最大風速毎秒82.5m」を記録したそうです。この風速は時速300キロに相当するそうです。(文藝別冊「植村直己 夢・冒険・ロマン 河出書房新社)
作者の西前さんは、社会人山岳会の関西登高会メンバーで、大阪の公立高校の先生だったそうです。少年文庫に収められているためか、わかりやすい文章が意識されていますが、作者が登山家だけに山岳の監修は安心して読めます。また全体を通してリアルで特に後半のサバイバル部分は、逆に登山を知らない人(少年、少女)にどこまでわかるだろうか、と心配になりました。
登山から30年を経て、かつてのメンバーを訪ね歩き「あの登山とは…」と思考を重ねる作者。このパートはかつて登山に熱い想いを持った人なら、誰もが同感するのではないでしょうか。
西前さんはようやく書き上げた本の出版を前にして亡くなられたとのこと。登山にかけた青春とその後の人生。西前さんという人はどんな方だったのでしょうか。生きていれば話を聞いてみたかったです。
「冬のデナリ」という本の表題は聞いたことがありましたが、マッキンリーのことだったのですか!植村直己氏が亡くなった山ですね!折角登頂したのにあれほどの方が下山で亡くなるなんて信じられません。早速読んでみたくなりました!
by RW (2017-10-15 06:03)
デナリはいつか行って見たいと思って30年。ゆっくりトレッキングでもやって見たいですね。
なんせアメリカですから交通の便はいいですよ。グリズリーが怖いですけど…
by かばたん (2017-10-15 17:06)
お待たせいたしました!偉大なる英国バンド「ザ・フー」の特集記事を公開いたしましたよ~!
by RW (2017-10-20 21:59)