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谷口けいさんの記録〜山岳雑誌Rock&Snowから〜  [山の本、TVなどメディア関係]

 年末に北海道の大雪山で世界的なトップクライマー・谷口けいさんが亡くなりました。クライミング終わりで用を足しに岩陰に隠れてから行方が分からなくなりのちに遺体で見つかったとのこと。困難な登山をされていた方なのに、本当にちょっとした油断が致命的な結果に及んだのでしょうか?

 さて、手元にある山岳雑誌「Rock & Snow」から目次に谷口けいさんの名前が出ている記事を調べてみました。(他にもあるかもしれません。ご容赦ください)

■Rock & Snow042 2008冬
 カメット南東壁に新ルートを平出和也さんと開拓。のちにピオレドール賞で受賞対象となった輝かしいクライミング。ルート名はSAMURAI DIRECT。高度順応をしたうえで、9/29-10/5の7日間で。この号にはGiri-Giri Boysのカランカ北壁も載っていて、なかなかの読み応えです。

■Rock & Snow044 2009夏
 第17回ピオレドーレ賞受賞の速報が載っています。谷口さんと天野和明さん、佐藤裕介さんの3人は着物姿で写真におさまっています。

■Rock & Snow047 2010春
 再び、平出和也さんと今度はロルワーリン・ヒマラヤのガウリサンカール東壁に挑戦。谷口さんが文を担当していて次のような文で始まります。
どこかでふとその山の写真を見て、映像を見て、またはどこかの景色の中にそれを見て「ああ、あの山に登りたい。あそこに自分のラインを引きたい」などと思いを馳せたことがありますか?

 谷口さんはその山がいまだ誰にも触れられていないと知った時、その思いは間違いなく強くなるだろうと、未知な壁に向かわずにはいられない気持ちを説明しています。残念ながら頂上直下150mに迫りながら、最後のヘッドウォールを突破できずに断念しています。

■Rock & Snow048 2010夏
 谷口さんは翌年の第18回ピオレドール賞の審査員となって、その模様を谷口さんご本人の文で紹介しています。そしてピオレドールからのメッセージのひとつを紹介しています。
 「どこの国の人かなんて関係ない。山を愛している僕らは、同じ山言葉を喋っているんだ」

■Rock & Snow051 2011春
 第1回韓国ウインタークライマーズミーティング(KWCM)に天野和明さんと招待されています。ここではミーティングに参加していたパーティーが事故を起こし、それへの韓国パーティーの対応に疑問を投げかけているようでした。

■Rock & Snow053 2011秋
 アラスカのカヒルトナピークスからカシンリッジを経てデナリの頂上を目指します。2008年、山田達郎・井上祐人ペアが踏破するもののその後2人が帰ってこなかったルート。今回のパートナーは花谷泰広さん。天候が安定せずにカシンリッジまでも行けず、必死の脱出劇でした。でも谷口さんの筆致は追い込まれた状況でも、どこか楽観的でもあります。たいしたもんです。

■Rock & Snow054 2011冬
 中国のナムナニ峰の未踏の南面を踏査したのちに、南東壁を目指すものの、セラックが崩壊する可能性があり断念。壁の代わりに氷河から稜線に上がり頂上に登ったのちに北西面のノーマルルートから下降し縦走に成功しています。パートナーは平出和也さん。

■Rock & Snow065 2014秋
 2014/4/21-6/5でなんと氷河上に38日間定着し、4つのルートを登っています。パートナーは和田淳二さん。ちょっと難度が高すぎて、私には評価できません。

 こうしてクライミングの中身を見てみると、技術的に素晴らしいのはもちろんですが、未知なるものへの探究心、そこへのアプローチが谷口さんにとって大事なのだなあと感じます。「これだ」と思えるルートを自分の中で消化していく時間や過程が必要とされていたのですね。 

 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

追記
■岳人727 2008/1 
 槍ヶ岳硫黄尾根

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RW

小生もこのニュースを聞いた時に本当にビックリしました。世界最高峰のエベレスト登頂や数々の業績を残した有名登山家がこんな何でもないような場所でなくなるなんてちょっとした不注意で足を滑らして転落しちゃったのかな・・と思いました。我々も気をつけましょう。家の中での転倒で一生を駄目にしちゃうケースもよくありますので・・
by RW (2016-01-11 10:01) 

かばたん

65歳以上の高齢者の事故発生場所は77%が住宅内らしいですね。気をつけましょう〜
by かばたん (2016-01-11 17:50) 

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