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「那須岳雪崩事故の真相」 雪崩学の阿部幹雄さんの取材でした [山の本、TVなどメディア関係]

 けさ何気なくテレビ朝日系列のドキュメンタリー・テレメンタリーを見ました。サブタイトルは「那須岳雪崩事故の真相」です。

 那須岳で高校生を対象とした、栃木県高校体育連盟主催の春山安全登山講習で起きた雪崩事故で生徒7人、教員1人が死亡した2017年3月の事故です。

 ドキュメンタリーでは、ラッセル訓練の目的や指示命令がはっきりしなかった事や、無線での通報で本部に伝わったのが39分かかった事に注目しています。雪崩で埋まった人の生存率は18分以降急激に下がるそうです。そのために、救える命を救えなかったのではないかと示唆します。一方でどうして携帯電話を使わなかったのか疑問を呈しています。
 また2010年に同じ場所で行われた春山講習会で、雪崩により生徒が首や腰まで埋まった事故がありました。しかし怪我人が出なかったことから「講習会がなくなってしまうのでは。高校生の冬山訓練がなくなってしまうのでは」と、教育委員会に報告をしなかった当時の引率教員たちの証言がありました。これは学校教育そのものの体質の問題でしょう。
 こうした高校山岳部を取り巻く憂うべき実態が明らかにされます。

 最初から明らかにプロではないナレーションが続くので「変だな」と思っていたのですが、取材は阿部幹雄さんがしていました。阿部さんは中国・四川省のミニャコンガの登山に参加した際、仲間を8人を滑落で亡くしているそうです。雪崩学の本も何冊も書かれています。

 阿部さんのナレーションはお世辞にも上手ではありませんが、聞いていくうちに妙に説得力がありました。それは雪崩の怖さをよく知っている人ならではの言葉の選び方なのだと思います。阿部さんだから高校生たちも遺族の方も取材に答えてくれたのだと思います。

 私は那須岳の雪崩事故が起きて改めて思っているのですが、高校生でも大学生でも社会人でも、厳しい気象条件の時に前進する必要はないと思っています。自分も「根性論」で育ってきたクチなので自戒を込めてです。悪天候で登山するのは、山を征服対象とする考えの延長ではないでしょうか。

 かといって冬山、雪山を禁止するのは反対です。天気が悪ければ「沈殿」すれば良いのです。「沈殿」の時の過ごし方も立派な、登山経験だと思うのです。


 と、阿部さんに感心していたら、今月29日に同名の本を出版されるようです。なるほど、つながりました…

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