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震災施設めぐり2日目 双葉の伝承館、請戸小学校、名取市の閖上 [東京での登山と日常]

 前日は廃炉資料館、とみおかアーカイブミュージアム、夜ノ森の桜並木、中間貯蔵工事情報センターをめぐり双葉町のビジネスホテルARM双葉に泊まりました
 今日はまず朝食をとってから歩いて10分ほどの海辺へ行ってみました。まだ新しい堤防に上がって海をみてみます。ここをどす黒い大きな津波が押し寄せ住宅も何もかもを押し流した様を想像してみると、胸苦しさを感じました。

双葉町の海岸

 双葉町は震災以来、唯一全町避難が続いていましたが、今年8月30日に特定復興再生拠点区域の居住が認められたそうです。11年5ヶ月ぶり…あまりにも長い年月です。
 町のHPによると2021年の住民意向調査では「戻りたいと考えている」は11.3%、「まだ判断がつかない」は24.8%なのに対して、「戻らないと考えている」は60.5%にのぼっています。

JR双葉駅前

 町の世帯数は8月と比べると11月30日時点で23世帯増えています。ほんの少し居住者が増えて来たということでしょうか。

消防の止まった時計

 双葉駅でシェアサイクル(100円デポジット形式)を借ります。これが大正解でした。ホテルをチェックアウトしてそのまま浪江町の請戸までご機嫌サイクリングです(強風でしたが)。
 海岸では「福島県復興祈念公園」の建設が進められていました。国営の追悼・祈念施設となる予定だそうです。

 請戸地区にやって来ました。この地区では死者行方者が154人を数えました。
 請戸漁港は高さ15メートルを超える津波で岸壁や堤防等ほとんどの施設が流出、倒壊したとのこと。福島原発に近いことから立ち入りができなくなり、復旧工事の着手自体が遅れました。出初め式が行えるようになったのは2018年、完全に工事が終わったのは2021年のことだそうです。

請戸漁港

 次に「奇跡の小学校」とも言われる請戸小学校です。2年生から6年生まで(1年生は先に下校していた)の82人が先生の誘導のもと近くの大平山まで登って全員無事で避難できたのです。学校校舎は今は「震災遺構」として見学ができるようになっています。津波は校舎の2階床面まで届いたということです。

請戸小学校

 説明員をしていた役場の方と話をしていますと、浪江町は震災前は2万人、今は1900人が居住しているそうです。浪江町は5年ほど前に帰還が始まったとのこと。1割に満たしませんが「みんな楽しく暮らしているんですよ」と笑顔で話していました。
 放射線量の数値の違いで町によってこんなに帰還時期の差があるのだと今更ながら思い知りました。

パネルに見る被災時の請戸小学校

 請戸小学校を後にして伝承館まで戻りシェアサイクルを返します。ここでは幅広い展示物があって全般的に震災の知識を得ることができました。

東日本大震災・原子力災害伝承館

有名な写真 双葉町にあった原子力PR

原子力災害伝承館

壊れた消防車

 シャトルバスに乗って双葉駅に戻り、常磐線を北上します。仙台の手前の名取駅で下車して、またまたレンタサイクルを借ります。こちらは300円。津波で大きな被害を受け、住宅再建のため土地のかさ上げを行なった閖上(ゆりあげ)地区がどうなっているか見たかったためです。
 レンタサイクルのおじさんは「閖上まで15分くらいかな」と言っていたのですが、なんのなんの40分かかりました(泣)。日暮れギリギリのタイミングです。

宮城県名取市閖上の水門

 こちらの震災の施設は冬時間として16時半までですので、入場は終わっていました。大きな駐車場があって。堤防上には「かわまちテラス閖上」という商業施設もオープンしているそうです。
 さて住宅地です。もちろんまだ空き地はありますが、想像していたより建設が進んでいると感じました。スーパーはあるし、体育館もあるし、空港が近いので職種によっては便利かもしれません。

閖上の住宅街

 また40分自転車をこいで名取駅に戻り、仙台へ。駅ナカの「牛たん通り」で牛タンを食べて(美味しかった)、新幹線で帰路につきました。

 今回は福島を回りましたが、双葉町が今年8月まで居住ができなかったのは知りませんでした。「もうなんとかなってるんだろう」との勝手な思い込みでした。また処理水の海洋放出、除去土壌の最終処分など問題が今なおあって地元住民に負担を押し付けている現状も再認識しました。
 東京五輪は「復興五輪」と位置付けられましたが、それも1年前に通り過ぎてしまいました。
 今回の震災施設をめぐる旅は、震災について考えるきっかけを与えてくれました。こうしたところを巡るツアーがもっとできればなあと思いましたし、実際「一般社団法人3.11伝承ロード推進機構」というのがあって施設の紹介がなされています。風化をさせない試みとして「震災施設をめぐる旅」は有効かもしれません。

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