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あこがれの稜線 飯豊山荘から川入へ二泊三日 [東京での登山と日常]

 飯豊へ行くなら縦走したいとずっと思っていました。公共交通機関でなんとか行けないか考えましたが、夏季限定のアクセスバスはすでに終了。それでも「今行かなければいつ行けるかわからない」と自分自身を脅すようにして実行に移しました。

20230916米沢.jpg

 夜行バスで米沢に着くとしっとりとした雨。
「え〜っ」
 山の上では覚悟していましたが、下界から雨とは予想していませんでした。JR米坂線で今泉駅まで。そこから22年8月の大雨以来続いている代行バスに乗って7時36分小国駅に着きました。予約しておいたタクシーに乗り換え飯豊山荘へ。のんびり運転のタクシーで8時15分ごろ飯豊山荘に着きました。

梶川尾根は急登

 さっそくゲートを越えて梶川尾根の登山道に向かいますが、いきなりの急登。吹き出す汗と高い湿度ですぐに全身がびっしょりと濡れてしまいます。途中からは雨も降りだして、雨具を着込みました。きっといい森なんでしょうけど、ずっと俯いて歩いていたのであまり記憶がありません。

アキノキリンソウ
アキノキリンソウ

 五郎清水で水を汲んで、やっと梶川峰に着くとなだらかな尾根歩きとなりました。

梶川峰

ウメバチソウ
ウメバチソウ

 しかし稜線に出てみると西から猛烈な風が吹いています。「きょうの雨は想定内、あすさえ晴れればいいのだ」とあすの好天を期待して足を進めました。

ガスの中の門内小屋

 門内(もんない)の避難小屋の扉を開けると多くの人が寛いでいました。
「梅花皮(かいらぎ)の水場はじゃばじゃば出ているよ」
 もともとは門内小屋でテント泊のつもりでしたがまだ時間も早い。というわけできょうの宿泊地を梅花皮に変更。門内を14時前に出発しました。

マツムシソウ
マツムシソウ

梅花皮小屋
(写真は翌日の撮影)

 強風で時々体を持っていかれそうになりましたが、梅花皮に15時半ごろに到着。小屋内に入って管理人の方と話し出すと、もうテントを張る空気ではなく、そのまま小屋利用としました(2000円)。
 聞いた話通り水場は水がよく出ていてビールが冷やされていたので一本もらいました(800円)。晩御飯は尾西のドライカレーとアマノフーズのカレー。
 小屋の外は相変わらず風が強く吹いていますが、夜行バスで疲れていたのか18時ごろには寝てしまいました。

夜明け前

 翌日は3時40分ごろに起きました。予定より早いですがお湯を沸かしてチキンラーメンとインスタント味噌汁とコーヒーをお腹に入れて出発します。小屋の外に出ると東の空が明るくなりかけていて、風は収まりつつあるようです。

北股岳

 太陽が昇るとガスもきれてきて振り返ると北股岳がずーんとそびえていて朝日に照らされています。
きのうはガスの中だったのでわかりませんでしたが、こんな立派な山だったんですね。梅花皮の小屋がかわいいです。飯豊の小屋はみんなこじんまりしていていいですね、風景の中のアクセントとしていい味出しています。

イブキトラノオ
イブキトラノオ

カタツムリ

 前日ほどではありませせんが、西からの風がガスを吹き上げてきます。

P9173588.jpg

 それも日が登るにつれてガスが切れて視界が広がってきました。おっ、おっ、おー、やった!

飯豊の稜線が見えてきた

 いい稜線だな〜

緑の稜線だ 

 梅花皮岳、烏帽子岳を過ぎると先ほど見た緑の一直線に延びる稜線歩きです。

御手洗の池

大日岳 天狗の庭より

 御手洗いの池は青空が映り、天狗の庭では飯豊の最高点、大日岳が左右に尾根を伸ばす立派な山容を見ることができました。大日岳は日本百名山に選ばれていないため端折られることも多いようですが、この姿を見たら「登らなあかんやろ」と思ってしまいます。

天狗の庭

振り返った飯豊の稜線

 やがて御西小屋を出た登山者とすれ違うことが多くなってきました。面白かったのが「水場どうですか?」と情報交換することが多かったことです。どうやら小屋でも水が枯れているところがあって水の確保が大変なところがあるようです。きのうの梅花皮は例外だったのですね。

ヤマハハコ
ヤマハハコ

御西小屋が見える

 御西小屋に荷物をデポして大日岳をピストンします。往復2時間半かかるので結構なものです。(端折られるのもわかるような気がする…)

チングルマ
チングルマ

チングルマの種
チングルマの種

 大日岳の頂上ではあいにくガスに包まれていましたが、一瞬だけ青空が見えたときがあって、その時は登山者の声のトーンが上がりました。

大日岳の頂上

飯豊本山へ広い尾根

 御西小屋から飯豊本山へ。このあたりは広い尾根で、晴れていれば本当によい景色っぽい。

飯豊本山へ

飯豊本山 頂上

 飯豊本山の頂上ではパパっと写真をとって下りだします。もともとは本山小屋でテント泊の予定だったのですが、予定より早く行程をこなしているので、切合(きりあわせ)まで足を延ばすことにします。ここも普段の水場は枯れていますが、大日杉への道を行くと水が豊富に流れていました。

切合テント場

雲がもくもく

 テン場では夕立にあいましたがすぐにやんで、ビールとウイスキーの残りとご飯を食べて寝てしまいました。案の定夜中に起きてしまいましたが、テントのすきまから夜空を見上げると星空です。カシオペア座が見えました。

星空

 翌日は4時45分ごろに出発して、剣ヶ峰の岩稜を経ました。結構緊張しました。

剣ヶ峰

 途中電波が通るところ(地蔵岳の分岐)からタクシーを呼んで2時間後の9時に御沢で落ち合うことができました。運転手さんから「山都そばはおいしいよ」とさんざん聞かされて、その気になったのですが、まだ9時半でどこも開いていません。待つのも時間がもったいない気がして10時22分の磐越西線に乗って郡山へ向かいました。山都そばがちょっと心残りかな。
 それ以外は自分の体力、気力ともに充実した山行となった気がします。

JR山都駅

 飯豊は大きい。その大きさに強くしてもらったような気分です。





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平ヶ岳 公共交通機関でいい山旅でした [東京での登山と日常]

平ヶ岳は日本百名山の中でも「日帰り最難関」と言われている。宿泊施設がなく原則テント泊禁止であることから、標準コースタイム12時間、標高差1300mを上り下りすることになる。さらにアプローチも難度か高い。マイカーならまだしも公共交通機関で移動するとなれば前夜泊が必要となる。

奥只見湖遊覧船

今回のアプローチは新幹線で浦佐まで行き、シルバーラインを走る路線バスで奥只見湖まで行き、そこから遊覧船に乗って尾瀬口まで行って、接続しいている会津バスに乗って、鷹ノ巣まで。長〜い!けど、道中いろんな人との出会ってお話をして楽しい思い出となりました。

鷹ノ巣の清四郎小屋のキャンプ場

清四郎小屋のキャンプ場はこの日は私を含めて3グループ。

翌朝はキャンプ場にテントなどをデポして、月明かりの中、午前3時40分に出発しました。4時に登山口通過し、20分ほどたつと山道に入りました。なかなかの急登ですが、気温が高くないので助かります。暗い中やせ尾根を通過しますが、トラロープに助けられながら高度を上げていきます。

燧ヶ岳の存在感すごい

鷹ノ巣ルートのヤセ尾根

燧ケ岳の存在感出してます。5時半頃に下台倉山に到着。そこからしばらくは平たんな道です。

台倉山あたりから 平ヶ岳が見えて来た

池ノ岳への登り

池ノ岳への登りは溝状になっているところが多く、段差がないようスタンスを求めていきます。やっと池ノ岳に着くと待ち構えていたのが、青空が映る池塘でした。これまでの苦労が報われました。

池ノ岳の池塘

ここから急に登山者が増えました。プリンスルートという現在の天皇陛下が登山するときに利用した民宿宿泊者専用のルートがあってそれなら往復6時間半ほどで頂上を往復へいけるのだ。

平ヶ岳山頂

あまりゆっくりもせずに平ヶ岳へ。もう頂上付近は草紅葉となっています。頂上はやぶの中のぽっかり空いた藪が払われたところがあって標柱がたっています。男女のグループと頂上で写真を撮りあって、次にたまご石へ。

定番 たまご石

さっきまで青空バックにたおやかな姿をみせていた平ヶ岳は、雲が湧き出してきて今にも隠れようとしていた。

その後池ノ岳で行動食(無印良品のチャイなんとか)を食べて、下山に取り掛かる。標準タイムよりだいぶ時間短縮してきているので、もう帰りのバスに間に合うだろう。そこからとにかく下りるが太陽も上がって消耗する。何人かに抜かされるが、みんな元気だなあと思う。

鷹ノ巣ルートのヤセ尾根 竜のようだ

 平ヶ岳は池ノ岳の池塘がなければ「やってられない」山だと思う。深田久弥も苦労ゆえにこの山を評価しているように思う。確かにアプローチは電車、バス、船、またバスと乗り継いだ「旅」でした。独り身となってから旅を続けているという女性など、出会った人たちも思い出深いです。

 さらに恋ノ岐川の沢登りか、残雪期に尾瀬から山スキーで縦走すれば、平ヶ岳登山はもっと充実するでしょうね。

■平ヶ岳 2023/9/3
平ヶ岳登山口(4:00/9:00)平ヶ岳(9:05/9:40)たまご石(9:45/14:11)平ヶ岳登山口
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雑多なこと 「スマホ豪雨で水没」からの「ニッコリ」 [東京での登山と日常]

 栗駒山で豪雨に見舞われたとご報告しました。そのときに一時期充電できないなど「あれっ?」と思ったこともあったのですが、えきねっともモバイルSuicaでピッできたし音楽も聞いていたので安心していたのですが、翌朝電源が入りません。

 最初は「乾かしたらなんとかなるかな」と思っていたのですが、ネットで調べているうちに不安になって近くのスマホ修理ショップに持ち込むと2時間ほどたって「修復不可能」との返事でした。会社のスマホで当面しのぐことにして、月曜の朝にgoogleのpixel 7aをオンラインで注文しました。キャンペーンが始まる前でしたが、待ってられないのでポチしてしまいました。

 火曜の晩には到着して、そこからはひたすらアプリのログインを繰り返します。LINEは常日頃からバックアップしていませんでしたので、これまでのやり取りは消失してしまいました(T . T)

 その代わりと言ってはなんですが、目を見張ったのがカメラの綺麗さです。嬉しくていろんなものをとってしまいました。

20230809月島の風景.jpg

20230808隅田川沿いの花jpg.jpg

20230812シュマッツのビール.jpg

 iPhoneを使っている人には当たり前の写りかもしれませんが、アンドロイドのミドルレンジのスマホを使い続けている私にとっては、とても品のある加工をしている「綺麗な」画像だと思います。
 音質もこれまでより良いように思います。 

 スマホが動かない時はショックでしたが、人間ってゲンキンなものですね、今は新しいスマホにワクワクしています。


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産女川上流部の沢登りと土砂降り栗駒山 [東京での登山と日常]

 仙台在住の登山仲間が計画していた新人トレーニングの沢登りに入れてもらいました。前夜に仙台で合流し車で須川温泉まで。

 朝起きると快晴です。須川温泉は昨夜ついたときにはわからなかったのですが、旅館すぐのところで温泉が白煙をモクモク出しています。硫黄の匂いも漂います。登山口からしばらくいくと名残ヶ原というひらけたところに出ました。気落ちいい朝です。

名残ヶ原

 左手を見ますと、東北の山々が見えます。たぶん焼石岳です。焼石岳をこの目で見て存在を確かめるのは生まれて初めてです。

焼石岳

 笊森の避難小屋で身支度を整えて、産女(うぶすめ)川へ下っていきます。産女川は沢屋のバイブル「日本百名谷」に収録される名渓でしたが、2008年の岩手・宮城内陸地震で大崩壊が起きて、渓相がすっかり変わってしまったとのこと。今回は上流から一旦下りて登り返す計画です。

笊森の避難小屋から産女川へ下りていく

ミツバオウレン
ミツバオウレン

P8053438.jpg

 降りだしてしばらくした頃に滝が出てきました。懸垂下降をすることにします。新人君はいきなりの懸垂下降に戸惑い気味。別にいじめているわけではありませんよ。

最初の滝を懸垂下降で

 その下はトユ城の滝を降りていき、最後は大きな淵に飛び込みました。新人君は飛び込んだ後、なぜかバタフライを決めていました!バタフライですよ!

トユ状の滝を。最後は飛び込む

オオバギボウシ
P8053450.jpg

快適なナメだ

トンボがたくさん飛んでいた

 本当は大崩壊地を目にしたかったのですが、時間的に10時半をタイムリミットとして引き返すことにします。

階段状のナメ滝

 下ってきた時よりやっぱり登りの方が沢の姿形をよく見ることができます。階段状のナメ滝とか綺麗ですね。

P8053460.jpg

 さて写真はもう源頭部まで飛んでいますが、下りの時に飛び込んだ滝が出てきて、友人が滝下で泳ぎながらホールドを探しましたが断念しました。「では巻こうか」となるのですが、草付きが滑って怖くて躊躇してしまいました。う〜ん、どうしよう。結局細いブッシュをビレー点にしてロープを張ることにしました。ハードな巻きでした。

源流を詰めて笊森避難小屋近くまで

ミヤマアキノキリンソウ
ミヤマアキノキリンソウ

 さてあとは下山だけですが、せっかく栗駒山まで来たので、私だけ山頂を目指すことにします。歩き始めた途端に雨が降って来ました。

急に雨が降ってきた。山頂も霞む

 そのうち雷がゴロゴロと鳴ってきました。

キンコウカ
キンコウカ

ヒナザクラ
ヒナザクラ

 本当はとても雄大でお花畑も綺麗のでしょうが、とても楽しむ余裕がありません。雷はまだゴロゴロとなっています。それに時々ピカッと稲妻も光るようになりました。山頂に着いても写真を何枚かとったらすぐに下山です。

栗駒山の山頂

 帰りは土砂降りとなりました。道が沢筋のようです。沢登りの装備でよかった〜。

土砂降りだ!

 須川温泉は日帰りの浴場は内風呂は16時まででした。私は5分前に到着したら入れてくれました。700円。乳白色でPH2.2の強酸性ということです。いいお湯だったな〜

 友人らと合流して車を走らせ、あらためて真湯温泉にも入りました。600円。こちらは森の中の露天風呂がいい雰囲気でした。最後は一ノ関まで送ってもらい18時38分の新幹線に飛び乗って21時前に上野駅に到着でした。

 沢登りは産女川の良さの一端を知ることができました。栗駒山の山頂は雨でしたが、ずぶ濡れもまたいい思い出となりました。「神の絨毯」と噂の秋の紅葉の頃に再訪したいものです。

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鳥海山 その山の大きさと日本海の青さと高山植物と [東京での登山と日常]

 はるか東北の富士山に似たコニーデ型火山の山。深田久弥が「山容秀麗という資格では他に落ちない」と称した山。日本百名山踏破者が一番勧める山、などなど。いろんなところで絶賛されている鳥海山。本当は山スキーで登りたいところですが、その時期を待っているといつ実現するかわからないので、公共交通機関が使える夏のシーズンに思い切って行ってきました。

 今回は東京と秋田・象潟(きさかた)の往復を夏の間の週末限定で走る夜行バス「エキスプレス鳥海」を使用します。21時50分に東京駅八重洲口を出発したバスは翌朝5時45分に象潟駅に到着しました。6時20分発の寄合バス、鳥海ブルーライナー(3,000円。7〜10月第2週までの土日祝のみ、予約必要)で登山口の鉾立まで登っていきます。

鉾立の登山口 日本海が青い

 鉾立の登山口は食事や土産物が買える山荘、ビジターセンターやトイレ、駐車場がありました。帰ってから調べたらモンベルの「鉾立山荘」という小屋もあるので、中を覗いたらよかったと、後悔。

 身支度を整えて出発です。さすが百名山だけあって、石が置き敷かれた整備された道が続きます。歩き始めて間もなくで展望ポイントがありましたが、ここから仰ぐ鳥海山の山頂はだいぶ遠いです。

鳥海山が遠い

 尾根状からやがて広々とした景色が広がりました。賽の河原はもうすぐです。

賽の河原を目指す

 賽の河原に至ると、これでもかというくらい高山植物が現れます。花の名前はGoogleレンズやインターネットのいろんな方のページを見て同定したものです。間違っていたらご指摘ください。

マルバキンレイカ
マルバキンレイカ

シロバナクモマニガナ
シロバナクモマニガナ

イワイチョウ
イワイチョウ

チョウカイアザミ
チョウカイアザミ

ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲ

ウサギギク
ウサギギク

ハクサンシャジン
ハクサンシャジン

ハクサンフウロ
ハクサンフウロ

 御浜小屋に着きました。「熊の出没に注意」の看板にギクッとしますが、Youtubeで実際に子熊が屋根の上を歩いているのがアップされていました。人も多いので熊鈴をつけてないのだけど大丈夫かな…
 御浜小屋は鳥海湖を見下ろすことができ、多くの人がカメラ(スマホ)を構えていました。

御浜小屋でくつろぐ人たち

鳥海湖

 さあここからは扇子森というなだらかな尾根を進むのですが、このあたりの雰囲気がとってもいいですね。行ったことがないけど、なんとなく南米ペルーの山へのアプローチという感じがしました。ちょっと日本離れした景観なんですよね。

扇子森 この辺りいい景色

トウゲフキ
トウゲフキ

ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ

 七五三掛から一段尾根を上がったところが分岐点となり、左手の千蛇谷へ降りていきます。降りたところの雪渓を一回わたって、そこからは地味に登りが続き、割と消耗しました。休憩をとるたびに、パンやソーセージ、バナナなどを口にしてシャリばてを防ぎました。

千蛇谷へ

雪渓を渡る

御室小屋に到着

 御室小屋に着いてすぐに新山への登りに取り掛かります。新山は1801年の噴火でできたピークだそうで、まだ岩がごつごつしています。

岩の裂け目を通る

 これがなかなかのルートでして、大きな岩塊の割れ目を下ったりするので変化があって面白かったです。スタンスやホールドがしっかりあるので、難しくはありませんが、慣れない人は下りが大変かもしれません。

新山 日本海が青い

 岩をよじ登っていくと新山に着きました。山頂は小さめです。日本海を見下ろすことができ、青空も相まってとってもきれいです。海が見える山っていいですよね。鳥取の大山や青森の岩木山もそうだったかな。山頂から降りたところに胎内くぐりの場所がありました。今現在は安産を祈願する該当者がいないものの、将来に向かってお祈りしておきました。

 復路は外輪山と鳥海湖を巡りました。外輪山は右側がスパッと切れ落ちていて、往路の千蛇谷コースがよく見えます。

鳥海山の外輪山

高山植物が本当に多い

 左側はなだらかな斜面が続き、なるほどスキーで滑ったら気持ちいいだろうな〜と思います。高山植物も相変わらず豊富です。すれ違ったツアーガイドさんに固有種「チョウカイフスマ」を教えてもらいました。

イワギキョウ
イワギキョウ

ミヤマキンポウゲ
ミヤマキンポウゲ

チョウカイフスマ
チョウカイフスマ

 たったか下って、帰りのバスの時間と見あいながら鳥海湖方面へ。鳥海湖は青空を映し出して神秘的です。近くで見てみると澄んだ水の色をしています。雪解け水が流れ込んでいるからなんでしょうか。

鳥海湖は青く神秘的

 御浜小屋で一般ルートに再合流してあとは鉾立の登山口を目指します。登山口には14時50分。余裕でした。食堂でビールを一本飲んでカメラの写真の整理をしていたら16時20分となって鳥海ブルーライナーに乗って、道の駅「象潟ねむの丘」まで行って、旬だという「岩牡蠣」と生ビール、刺身定食を食べて満たされました。お土産は地元推しに乗っかり「潟の松風」という日本酒と、いぶりがっこを買いました。

道の駅 象潟ねむの丘 夕日

 象潟は日本の夕日百選に選べれているそうでしばらく落日を眺めておりました。波の音が静かでこんなにのんびりと夕日を眺めていたのはいつぶりでしょうか。水平線の間際では雲がありましたのが、十分雰囲気は味わえました。

 象潟は松尾芭蕉の「奥の細道最北端」(どこかで聞いたことがあるフレーズだなあ…)と呼ばれているそうです。当時は松島と並び称された景勝地だったそうですが、1804年の地震で2メートルも隆起してしまったのだとか。日本海側も時々地震がありますもんね。鳥海山の新山は1801年の噴火だったので、この頃鳥海山周辺は大変な事態に見舞われていたのですね。

 象潟駅まで20分ほど歩いて戻りましたが何にもすることがありません。駅の冷房も止まっています。道の駅近くのガストで時間つぶしをすればよかったと思ったものの、そこまで戻るのも面倒くさく、夜風にあたりながら気合いで時間をつぶしました(笑)。

 22時20分の夜行バスに乗るとさすがに往路よりは寝ることができました。翌日はいったん家に帰ってから、普通に出勤しましたが、さすがに眠たかったかな。
 特急と新幹線を乗り継げばその日じゅうに帰れたのですけど、あまりにもせわしく感じたので往復夜行バスにしたのですが、新潟まで出て食事をして夜行バスに乗る手もあったなあと、でもまあ夕日も見ることができたし良かったということで。

 鳥海山は日本海近くのロケーション、その大きさ、高山植物の豊富さ、雪渓あり、岩場ありでみどころがたくさんありました。しかも道がしっかりしていて日帰りができる。
 皆さんが絶賛するのも納得の山でした。

■鳥海山 2023/7/30
鉾立(7:00/10:35)鳥海山新山(10:40/外輪山ー鳥海湖経由/14:45)鉾立

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岩手・遠野は物語にあふれていました [東京での登山と日常]

 早池峰の登山を終えて、新花巻駅から釜石線に乗ります。ワンマンの各駅停車でしたが、わりと通学の生徒が利用しています。45分ほどして遠野駅につきました。

遠野駅前はカッパが出迎える

 遠野駅ではさっそくカッパが出迎えてくれました。遠野といえば遠野物語です。日本民俗学の父とされる柳田國男がこの土地で物語を収拾していた佐々木喜善から聞いた話をまとめた本です。と言っても私は原作を読んだことがありません。今回は読むきっかけにでもなればの思いでした。
 それとなんといってもJR東日本のダイナミック・レールパックで宿泊込みの値段が正規の往復の新幹線指定席より安かった(¥26,400)のも決断した要因の一つでした[新幹線]

 遠野と言えばもう一つ。ジンギスカンです。早池峰から下山したあとですから、ラム肉のジンギスカンでビールを飲んだらもういい気分。

遠野といえばジンギスカン

 翌日は遠野の駅前通りの突き当たりにある鍋倉城址に登ってみました。遠野南部氏12,500石のお城跡です。
 柳田國男は遠野を訪れた際に次のように紹介しています。

花巻より十余里の路上には町場三ヶ所あり。その他はただ青き山と原野なり。人煙の稀少なること北海道の平野より甚だし。或いは新道なるが故に民居の来たり就ける者少なきか。遠野の城下は煙花の街なり。


鍋倉城址の石垣と階段

鍋倉城址から街を見ろしますと、まあなんということもない田舎の風景でした。

鍋倉城址から見る遠野市街

 驚いたのが街のすぐそばなのに現れた看板!

鍋倉城址は熊注意!


せっかくなので五百羅漢というところへ行くことに。途中で「程洞コンセイサマ」というところへ寄ってみると、祠の中に男根を形取った石の棒状のものが何本も祀られていました。この辺りは他にもコンセイサマのポイントがあるそうです。漢字では「金精様」と書き、子授けや豊作を司る神様だとのこと。

 やがて五百羅漢に。200年ほど前に東北を襲ったたび重なる飢餓の犠牲者を供養するために、寺の和尚さんが花崗岩に羅漢像を刻んだものです。先ほどのコンセイサマと合わせて考えると、生死が身近にあることを感じます。

五百羅漢

 近くには「卯子酉様」という恋愛成就のパワースポットが。遠野物語にも登場するそうです。赤い布に「良縁」の願掛けをされていました。

卯子酉様

」一旦ホテルに戻ってから遠野駅前の観光案内所でレンタサイクルを借りて、いよいよカッパ淵へ。自転車から下りてカッパ淵に行く時には、なんと言いますかドキドキワクワクしてしまいました。

カッパ淵

 なんとも小さな流れですが、言われてみればカッパが住んでそうな静けさと佇まいがあります。祠にはキュウリが供えられていました。そうだった、キュウリが大好物なんだ。

きゅうりのお供え

 近くの常硬寺にはカッパの狛犬もおりました。

常堅寺のカッパ狛犬

 すぐ近くの伝承園という施設には遠野の典型的な家屋の形態「曲り家」が見学できます。馬と一緒に暮らしていたのですね。兵庫県の但馬でも牛と暮らす家がテレビで紹介されていたのをみたことがありますが、昔の日本は馬や牛がすごく近い存在だったのでしょうね。

伝承園のオシラサマ

 この施設ではオシラサマという馬と娘の物語から信仰に発展した、なんと言いますか不思議な空間がありました。

 さらに自転車を走らせてデンデラ野というところへ。姥捨の伝説があるところです。60歳を過ぎると老人はこの地に追いやられる風習があったそうです。とはいうものの日中は田畑まで下りて、農作業を手伝っていたそうです。里へ降りることを「ハカダチ」、戻ることを「ハカアガリ」というそうです。

デンデラ野
 
 昼過ぎに駅前に戻ってコインロッカーで荷物を引き取り、新花巻に戻りました。

 なんとなく伝説でかたどられていますが、よくよく考えると東北の厳しい生活と生死が間近にあることを、物語がオブラートに包んで伝え続けているものという感じがします。
 カッパ伝説は全国にありますが、「子供を引きずりこむ」カッパの悪行は実は子供を間引くために菰に巻いて川に捨てたのが真相だという説もあるそうです。  宿泊したホテルでは昔話の夕べというイベントがあり、「語り部の会」の女性が3つほど話を聞かせてくれました。遠野弁による語りは全部はわかりませんが、なんとも温かみのある語口で耳を傾けてその情景を思い浮かべてしまいます。

 いい時間が過ごせました。今度くるときがあればその時までは「遠野物語」を読んでから来たいと思います。

タグ:遠野 旅
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北上山地・早池峰 ハヤチネウスユキソウが咲いていました♫ [東京での登山と日常]

 早池峰山に行くなら、6月下旬から7月中旬に行きたいとずっと思っていました。雨のマークが続く週間天気予報の中、お日様マークを見つけ思い切って出発します。新花巻駅でレンタカーに乗って40分くらいで河原の坊駐車場に着きました(平日ならここまで車を入れることができます)。身支度を整え出発です。

 早池峰総合休憩所で携帯トイレを500円で買いました。早池峰山は野外の用足し禁止なのです。土の富栄養化が進むとこれまで早池峰にはいなかった植物が育ちやすくなり、代わりに今いる植物の生息場所が奪われるそうです。ここまで徹底を呼びかけられるのは初めてです。山のトイレで問題となる屎尿処理に悩むこともないし、いいことだと思います。

 小田越えまで車道を歩いて緩やかな樹林帯を抜けるとパァッ!と展望が広がりました。

樹林帯を抜けると広々とした風景だ

 さっそく高山植物が出迎えてくれました。早池峰山は日本百名山ですが、花の百名山でもあります。今回は花を中心にご紹介して行きますね。花の名前は自分で調べたものですので間違いがあるかもしれません。ご容赦ください。

ミヤマオダマキ
ミヤマオダマキ

キンロバイ
キンロバイと思う

 そして意外とあっさりと出会えました。ハヤチネウスユキソウです。日本のウスユキソウの中では、ヨーロッパのエーデルワイスに最も近い種類だそうです。この時期を選んだのもこの花を見るためだったのです。

ハヤチネウスユキソウ

ハヤチネウスユキソウ拡大

 思ったより大ぶりの花で、一瞬「えっ!」と思ってしまいました。勝手に「可憐な」花と想像していました。それも次の写真を見てもらうとわかるのですが、茎の部分が野太いのです。風の強いところにたくさん咲いていましたから、これくらいでないと生きていけないのかも知れません

ハヤチネウスユキソウ横から

ミヤマヤマブキショウマ
ミヤマヤマブキショウマ

 小田越コースは段状になっていて2段目まで登ると頂上の岩場が近くに迫ってきます。風がいよいよ強くなって来ました。雨具を着込む人もいました。

風が強い

ミヤマアズマギク
ミヤマアズマギク

 噂の梯子が出てきました。

梯子

 落ち着いて登るとそれほどでもありませんが、振り返るとなかなかの光景でした。

振り返るとこわい

ヨツバシオガマ
ヨツバシオガマ

キバナノコマノツメ
キバナノコマノツメ

イワカガミ
イワカガミ

 もう花の写真を撮るのに忙しくて(笑)、剣ヶ峰の分岐を超えてからは緩やかな道となって、頂上につくことができました。曇っているので岩手山などはわかりませんでしたが、山深い東北の山を実感することができました。

早池峰山 山頂

岩手山は見えなかった(と思う)

カラマツソウ
カラマツソウと思う

チングルマ
チングルマ

コバイケイソウ
コバイケイソウ

小田越の向こうに薬師岳

 なにより深田久弥さんが言う「はやちね」という言葉の響きがいいですね。さらにハヤチネウスユキソウをはじめとする豊富な高山植物。それに文化的な歴史を感じさせる遠野が麓にある点なども興味が尽きません。この日はその遠野に泊まることにしています。それはまた後日。

※早池峰山頂避難小屋の工事のため2023/7/21~9/8まで山頂立ち入り禁止とのことです。

■早池峰 2023/7/7
河原の坊(10:20/12:20)早池峰山(12:35/14:15)河原の坊


山と溪谷 2021年 増刊6月号 深田久弥と『日本百名山』

山と溪谷 2021年 増刊6月号 深田久弥と『日本百名山』

  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2021/04/22
  • メディア: Kindle版



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本日は晴天でしたが… [東京での登山と日常]

20230701焼きとうもろこし.jpg

 東京での生活も3年目に突入しました。物珍しくて楽しかった自炊生活もいささかマンネリ化してきました。買い物をして帰るとパパッと夕食を作って、お腹いっぱいになって眠くなって、それでおしまい…
 かと言って外食の機会が増えると、お酒を調子に乗って飲むものですからまた身体が鈍ってくる。

 とまあ、気だるい梅雨のひと時です。

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金太郎の山 箱根・金時山 [東京での登山と日常]

 あんまり天気が良さそうでもない。でもどっかに行きたい。午前中でパッと登って帰ってこれるところはと…ガイドブックと天気予報を見ていて「金太郎の山、金時山」へ行くことにしました。

公時神社

 箱根の山は初めてです。JR小田原からバスに乗って仙谷(せんごく)へ。ここから15分くらい歩くと公時神社につきます。坂田公時いわゆる金太郎を祀る神社です。

マサカリだ!

 境内にはやっぱりありました!マサカリです。
 お参りを済ませ山道に入って行きます。この道は階段状の段差があるので、結構きつい。先日の美ヶ原の百曲りコースの方がよほど楽でした。

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 木々の間から空がだんだん大きくなるのがわかります。頂上に近づくに連れ、意外と岩がゴツゴツするところが続きます。金太郎の山なので、もっとどっしりした感じの山かと思っていましたが、意外と急峻な山容だったようです。

岩がゴツゴツしている

 頂上には2巻の茶屋が営業していて、なめこの味噌汁なんかが売っています。美味しそうだな〜と思ったが、なめこの味噌汁を冷蔵庫に冷やしているのを思い出してやめときました。
 金時山は富士山の眺めが良いことで有名らしいのですが、この日はあいにくの曇り空。関東の山に登っていると、いろんなところから富士山が見えますが、箱根からの距離なら大迫力なんでしょうね。冬場ならバッチリだったかもなと思いました。

頂上にある2軒の茶屋

 こちらの小屋(元祖 金時小屋)のお父さんは白馬岳に200キロの風景指示板を担ぎ上げた伝説の強力だったそうです。しかしこれが元で42歳の若さで亡くなったそうです。いろんな人生があるもんだなぁ。しかし壮絶すぎるなぁ。

看板 金時娘の小屋

 さて山頂で行動食を口にして下山。乙女峠から乙女口バス停へ。最初は箱根の温泉にでも浸かってと、思っていましたが、小田急ハイウェイバスがちょうど来たので思わず乗ってしまいました。新宿まで2130円でした。新宿でラーメン食べて帰りました。

タグ:金時山
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美ヶ原「世界の天井が抜けた」展望がよくって [東京での登山と日常]

 登山をやっている方にしてみると「なんだ、美ヶ原か」と思われるかもしれません。あまりにも簡単に行けるところなので、私も「どうしたものか」と思っていました。決心がついたのは、三城(さんじろ)から百曲りコースを登った尾崎喜八という人の文章が印象的だったからです。

三城からはしばらく渓流沿いの道

 登山口となる三城は公共交通のアクセスがありません。今回はレンタカー使用です。朝5時半ごろに到着して6時出発です。最初は渓流沿いの道です。

百曲りコースはよく整備された道だ

 やがて百曲りコースに入ります。登山口から500メートルくらい登るのですが、道がつづら折れになっているからか、あまり急登な気がしません。よく整備された道です。だんだん南西の展望が開けてきました。下は御嶽です。

御嶽が見えてきた

 続いて中央アルプス。天気が良い時を選んで正解でした。

中央アルプスと思う

 さて冒頭に尾崎喜八さんの詩が今回の登山のきっかけになったと書きました。Wikipediaによると尾崎喜八さんは東京・築地生まれの詩人です。

登りついて不意にひらけた眼前の風景にしばらくは世界の天井が抜けたかと思う。やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら、この高さにおけるこの広がりの把握になおもくるしむ。無制限な、おおどかな、荒っぽくて、新鮮な、この風景の情緒はただ身にしみるように本原的で、尋常の尺度にはまるで桁が外れている。


空が開けてきた

 空が開けてきて、やがて台地の端っこに到達すると、突然広々とした風景が広がリます。
 「世界の天井が抜けた」瞬間です!

空が大きい!向こうの山は八ヶ岳

 上の写真は八ヶ岳。下の写真は槍穂の稜線です。緑の向こうに見える様はどこかヒマラヤのようです。

槍穂が草地の向こうに顔を出している。ヒマラヤみたいだ

 せっかくなので尾崎喜八さんのプレートがあるという「美しの塔」も訪れてみました。この辺りから観光客もちらほら見かけるようになり散策を楽しんでいます。

美しの塔

尾崎喜八の「美ヶ原」プレート

 放牧の牛たちも気持ちよさそうです。昨日は雨だったそうなので、今朝は日差しを浴びて気持ち良いでしょうね。

放牧の牛たち

 乗鞍岳が見えました。眼下の町は松本です。

乗鞍岳

 美ヶ原の一番高いところは王ヶ頭です。ここには王ヶ頭ホテル(シャトルバスも運行している)と長野の放送局の電波塔が林立しています。なるほどここなら電波を飛ばすには良いでしょうね。景観的には台無しですけど。

王ヶ頭

 そこから王ヶ鼻まで行くとなんにも遮るものがありません。北アルプスの山々が間近にみることができます。

王ヶ鼻

 槍・穂高の稜線です。

槍穂アップ

 後立山の稜線もくっきりです。爺ヶ岳、鹿島槍、五竜…

後立山連峰も全部見える

 帰りは八丁だるみのコースで下りました。草地の道で足にも優しくあっという間に林道に出ることができました。
 世界の天井が抜けるかぁ…あんまり見れないよな。よかったなあ、美ヶ原。

■美ヶ原 2023/6/17
三城(6:00/8:10)王ヶ頭(8:10/10:00)三城
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